声優事務所・81プロデュースの創立35年記念事業として、世界初となる声優についての展示施設「声優ミュージアム」が8月8日(土)にオープン。それに先立ち、8月7日(金)に内覧会およびオープニングセレモニーが行われた。本稿では、声優ミュージアムのフォトレポートと共に、中尾隆聖さん、三木眞一郎さん、山北早紀さんが登壇したオープニングセレモニーの模様もあわせてお伝えしていこう。
●声優文化の発展・認知を進める世界初の「声優ミュージアム」
【「声優ミュージアム」開館式に中尾さん、三木さん、山北さんが登壇】の写真付き記事はこちら
「声優ミュージアム」は、日本で独自に発展し続けている声優文化について、資料展示等を通して広く認知を進める拠点として作られた施設。同じ建物内には「81ライブサロン」が併設され、年間約50公演の声優によるパフォーマンスも予定されている。
ミュージアム内には、「機動戦士ガンダム」「ドラゴンボールZ」をはじめとする実際に使用された多数のアニメや吹き替えの台本、イラスト、写真など様々な資料を展示。声優文化を築きあげてきた大平透さん、野沢那智さん、大竹宏さんらのコーナーには当時の貴重な資料も多数あり、他にもこれまでの歴史をまとめた年表や、i☆Ris、Wake Up Girls!といった今を感じるコーナーなど充実の展示内容となっている。
また、フロアの奥には「声優神社」があり、20年以上前にHALF H・P STUDIOで初めて使用されたマイクがご神体として祀られている。神社内に絵馬型の付箋を貼るスペースも用意されているので、ミュージアムを訪れた際にはぜひこちらで祈願してみてはいかがだろうか。
●声優の歴史を次の世代に繋いでいきたい
オープニングセレモニーには、館長の南沢道義さん、声優の中尾隆聖さん、三木眞一郎さん、山北早紀さんが登壇。司会は駒田航さんが務めた。挨拶に立った南沢館長は「とても大切な自分たちの歴史、仕事の結晶を残していくには我々が頑張るしかないと仲間たちと何年も話し合ってきました」と長年の夢が実現したことに感無量の様子。
さらに、「私は日本語の奥深さが吹き替え版やアニメの音声、ゲームの音声といった文化を育んできたと思っております」と、世界でも類を見ないほど表現豊かな言語である日本語について言及。「日本語がある限りは、吹き替え、アフレコは次の世代の若者たちが未来永劫、繋いでいくと信じています。先輩たちが演じてきた歴史、今演じている歴史、これから演じていくであろう歴史を次の世代に繋いでいきたい」と語った。
中尾さんは、ミュージアムを作るにあたり「台本残っている?」「あ、捨てちゃいました」というやりとりがあったと笑う。その一方で「これをきっかけに、(声優文化が)枠を越えて大きく広がっていけばいいなと思います」との想いも口にした。捨てていなかった台本はきちんと展示されているので、ぜひチェックしてほしい。
さらに、三木さんは「声優ミュージアムが形になることで、よりわかりやすく、いろんな人に声優という仕事を理解していただけると思います」、山北さんは「声優の歴史が詰まったミュージアムなので、ずっと続いて皆さんにすごいと思ってもらえるようになったら嬉しいです。私も素敵な先輩に一歩でも近づけるように頑張りたい」とそれぞれ語った。
「声優神社に何をお願いしたいですか?」と聞かれた3人は、中尾さんが「一生終わらない番組のレギュラーを3本ぐらい(笑)」と言うと、三木さんも「後輩の僕は2本ほど」、山北さんは「圧倒的に後輩なので私は1本欲しいです」と笑わせてくれた。もちろんそれだけでなく、中尾さんは「日本中の子どもたちが笑顔でいられる作品に関わっていけたら」との想いを口にしていた。
●朗読劇で“声の力”を実感
セレモニーのラストには、中尾さん、三木さん、山北さんが『絵本読み聞かせキャラバン隊』と同様の形式で、絵本「パンやのろくちゃん」(作:長谷川義史)を朗読。中尾さんがナレーションとお父さん、山北さんがろくちゃんとお母さん、三木さんが屋台のおじちゃん役となり、演じ分けも見事に披露した。
『絵本読み聞かせキャラバン隊』は、東日本大震災支援の一環として“被災地に赴き子供たちに絵本を読み聞かせることで笑顔が増えるように”という思いで始まったプロジェクト。現在は裾野が広がり、幼稚園などでも実施されている活動だ。中尾さんは「子供たちを元気にするためには行けるところには何度も行って応援したい」と今後も続けていく意思を語った。
さらに、オリジナルのリーディングドラマ「竜一と慎二」を披露。物語は、探偵事務所の先輩・後輩である竜一(CV:中尾隆聖)と慎二(CV:三木眞一郎)、そして某国の姫・キサ姫(CV:山北早紀)によるドタバタ劇だ。姫のボディーガードという依頼を受けた竜一と慎二の軽快な掛け合いや、わがままな命令をしたり本音を吐露したりする姫の感情変化など、声の力を感じられる朗読となった。
南沢館長は「声だけで、芝居で商品化できないか。そのためにはドラマを演じるのは一番大事なのかなと思っている」とも語る。その言葉が具現化したものとして、81プロデュース35周年記念企画オーディオドラマCD「紫電改のタカ」がミュージアムオープンと同日にリリースされた。ちばてつや先生の名作を声優たちがどのように演じているか、こちらもぜひ堪能してもらいたい。
■声優ミュージアム