宮内庁は9日夜、東大病院(東京都文京区)で心臓の精密検査を受けられた皇后さま(80)について、冠動脈の狭窄(きょうさく)による狭心症と診断されたが、軽度だとして、経過観察を行うと発表した。現時点で公務に変更の予定はない。今後、胸痛発作の症状に変化があれば、薬剤治療も検討するという。
皇后さまは、心臓の筋肉に血流が不足する心筋虚血の疑いがあるとして、同日午後、約45分間、冠動脈のコンピューター断層撮影(CT)検査を受けた。病院での医師の説明には天皇陛下も同席した。
同庁によると、3本の冠動脈のうち、1本に2カ所、他の1本に1カ所、動脈硬化による狭窄を確認した。いずれも比較的軽度で、ほかに胸痛の原因となる狭窄は認められなかった。これまで通り日常生活を続ける一方、激しい運動を避け、心身に強いストレスを与えないよう配慮が望まれるとした。今後は侍医らが頻繁に症状を尋ねるなどの対応を取るという。
皇后さまは6月末ごろから胸に痛みがあり、徐々に頻度が増した。7月24日に24時間心電図検査を受けた結果、心筋虚血が疑われる所見が得られた。
9日の検査では、血管に造影剤を注入して画像を撮影し、冠動脈の狭窄の有無を調べた。7月の定例の健康診断で実施できなかったMRI検査も受けた。
皇后さまは午後1時45分ごろ、集まった人たちに車内から会釈して構内に入った。同5時15分ごろには陛下も到着。同6時すぎ、お二人で車に乗って病院を後にした。宮内庁によると、両陛下は手術をせずに済むことに安堵(あんど)した様子だったという。