セロトニンが今、あつい。
この画像に写っている光のもやもや、実は私たちの身体から培養されたものなんです。
あ、エヴァ初号機?
って思っちゃったと思うんですが、そうじゃなくてこれはセロトニンという神経伝達物質を初めてシャーレの上で培養することに成功した写真です。
セロトニンは脳内で働き、気分や精神状態に関係があることが分かっています。セロトニン自体はずいぶん前から知られていたんですが、研究室で培養できたのは史上初なんですね。これまでは他の動物のサンプルを使って研究していたわけです。
しかし、バッファロー大学の研究者たちが人間のセロトニンの培養に成功したということでニュースになっています。
今回の研究では人間の細胞の中でもフィブロブラスト(繊維芽細胞)という身体の結合組織を作る細胞を使ってセロトニンを培養したとのこと。上の画像の緑の部分がセロトニンだそうです。
神経伝達の障害による病気で苦しんでいる患者は世界中にたくさんいます。そんな患者自身の細胞サンプルからセロトニンを培養して治療に役立てることが期待されています。こういった研究がどんどん進むことで人間の気分に影響する病気について理解が深まりますね。それぞれの患者に合った治療が可能になってくるかもしれません。
今のところ人間の身体の外で培養するのが難しいとされている細胞がほかにもたくさんあるのですが、このセロトニンを培養した技術はそういった細胞にも使える可能性があるとのこと! 研究チームはMedical Expressで次のように語っています。
ニューロンや心臓細胞といったなかなか手の届かない細胞を別の細胞から作り出すことが可能だということが、今回の研究で分かりました。どの細胞からどの細胞を作れるかさえ分かれば、身体の中で本物の細胞と同じ働きをしてくれる細胞や組織を造り出すことが可能になるでしょう。
つまり失った細胞や足りない組織を自分の身体の別部分から造り出せるということ...ですよね?
だとしたら、これってもしかしてかなりの大発見じゃ...
source: Molecular Psychiatry via Medical Express
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)