『FFXV』ティザートレーラーの楽曲の秘話も!? ケルンで下村陽子氏がファンミーティングに参加【gamescom 2015】 | ニコニコニュース

●ドイツでも大人気! 下村陽子氏がファンと交流

 ドイツ・ケルンにて、現地時間2015年8月5日から9日にかけて開催されるヨーロッパ最大のゲームイベント“gamescom 2015”。『キングダム ハーツ』シリーズなどの楽曲で知られ、先日公開された『ファイナルファンタジーXV』のティザートレーラでは新曲が流れた下村陽子氏が、8月7日に開催されたファンミーティング“YOKO SHIMOMURA Meet & greet”に姿を現した。

  参加者は、スクウェア・エニックス ヨーロッパの呼びかけに応え、多数の応募者の中から幸運にも当選した約50名のファンたち。『キングダム ハーツ』シリーズのイラストがあしらわれたTシャツなど、下村氏が楽曲を担当した作品のウェアを着ていた人が何人も。

【画像8点】「『FFXV』ティザートレーラーの楽曲の秘話も!? ケルンで下村陽子氏がファンミーティングに参加【gamescom 2015】」をファミ通.comで読む(※画像などが全てある完全版です)

 21時過ぎからと、遅めの時間から始まったファンミーティングは、下村氏の「Guten Abend(こんばんは)」という挨拶と、来場を感謝する言葉で開幕。すぐにファンからの質問に応えるセッションが始まった。下記でその内容をお伝えしていこう。

・コンポ―ズした曲の中でもとくに好きな曲は?

下村 よくいただく質問なんですけど、私が作った曲は自分の子どもみたいなものなので、「この子がかわいい」とか、「いちばん好き」というのは選べないですね。

・自分でも『キングダム ハーツ』をプレイしますか?

下村 最近はなかなか最後まで遊べないんですけど、時間があるときはプレイしています。私はアクションゲームがとても下手なので、『キングダム ハーツ』はなかなか難しいんですよ!(笑)

・『キングダム ハーツ』の中で好きなキャラクターは?

下村 う~ん(笑)。これもやっぱり自分の子どもみたいなところがあるので、選ぶのは難しいですね。あえて言うなら……リクは『I』のときから思い入れがあります。

・あなたのピアノが好きなのですが、それ以外で挑戦してみたいものはありますか?

下村 ピアノはピアノ一台でいろいろなことができるんですけど、ほかの楽器それひとつだけでやるというのは私には難しいですね。何かひとつというよりは、弦楽四重奏とかピアノトリオとか、違った形の挑戦はしてみたいです。

・どのように作曲してるのですか? あなたの曲は本当にすばらしい、アメージングだから(知りたい)。

下村 ほめすぎ!(笑)。たとえばキャラクターのテーマだったら、そのキャラクターが持っている性格や背景、気持ち、また物語でどういう位置を占めているのか、どういうことを表現したいかをたくさん考えて、自分がそのキャラクターだったら、とできるだけ気持ちを近づけて作るようにしています。

・いちばん大きなインスピレーションの源は?

下村 やはりゲームは現実の世界ではないので、普段いかに得られない刺激を得るか、というのは大切にしています。旅行などで自分が見たことのないものを見るなどして、“非日常”を感じることを大事にしています。

・どのように曲を想像しているのですか?

下村 それもやはり同じで、どこかに行ってしまうのがいちばんいいんですけど(笑)。でも、だいたいそういうときは時間がなくて行けなかったりするので、マンガや小説をいっぱい読んだりして、気持ちを切り替えるようにしています。

・ドイツでのコンサートを開催してくれるのはいつですか?

下村 もう、私としては今日、明日にでもやりたいくらいです! スクウェア・エニックスの皆さんがご協力いただけると、ここにいる皆さんがハッピーになると思います。いかがでしょうか?(※スクウェア・エニックスの担当の方はやさしく微笑んでいました)

・曲を作り始める際に、習慣的にやっていることはありますか?

下村 う~ん、ないですね。だいたいいつも時間がなくて、「作らなきゃ!」とバッと座って作り始めたり、外にいて思いついて「早く書かないと忘れちゃう!」と慌てていることもあるので、そういったことをしている暇がないんです(笑)。

 質疑応答のつぎは、下村氏が楽曲を担当し、gamescomで公開された『ファイナルファンタジーXV』のティザートレーラーをみんなで鑑賞。トレーラーが終了すると、大きな歓声と拍手が沸き起こった。さらに、下村氏とポラロイドカメラで記念写真を撮り、そこにサインも入れてもらえるというスペシャルな企画が発表されると、会場は大盛り上がり! 

 YOKO SHIMOMURA Meet & greetを、「Ich liebe dich(私はあなたを愛しています)」と締めくくった下村氏。その感想や『ファイナルファンタジーXV』のティザートレーラーの曲について、下村氏にお話をうかがった。

 ――たくさんのファンが集まってくれましたね。

下村 皆さんあたたかくて、おひとりおひとりにコメントをいただいて。作曲のうえでくじけたりすることもあるんですけど、いただいた声を思い出してがんばろうと思いました。とても幸せな時間でした。

――ファンからは、どんなコメントがありましたか? 

下村 そうですね……たとえば「悲しいときもうれしいときも、私(下村氏)の音楽といっしょに過ごしてきました」であるとか、「『キングダム ハーツ』の作曲ができるのは下村陽子だけ、それ以外は耐えられない」であるとか。そこまで言ってもらえるなんて、夢のようです!

――そんなファンの熱意に応えるためにも、ドイツでの開催が実現するといいですね。

下村 うふふ。(担当者を見ながら)スクエニさんはやってくれると、私は信じているんですよ(笑)。

――『ファイナルファンタジーXV』のティザートレーラーでも盛り上がりましたが、使用されていた新曲の曲名は決まっているんですか?

下村 まだ決まっていないんですよね。サントラに収録する際などに決めることが多いです。それまでは、漠然と考えていたりもするんですけど、田畑さんとも相談になります。なので、公式には決まっていません。

――トレーラーでは、最初の歌入りの曲の後に一度曲が途切れ、後半でまた曲がかかります。これらは別の楽曲ですか?

 下村 はい。前半と後半は別の曲で、トレーラーに合わせて2曲使っています。最初の曲は、幼いルーナに合わせて歌も少し幼く、あれくらいのルーナが歌っているところをイメージして作りました。

 ――15年前のルーナの曲なんですね。

 下村 そうですね。後半は“親子の絆”を全面に押し出した曲です。心が震えるような、とにかく訴えかけてくるような曲を書いてくれと、田畑さんからオーダーを受けました。

――gamescomのステージイベントでは、田畑さんも下村さんもこだわりが強いというお話がありましたね。

 下村 そうなんです。今回の曲も最初、田畑さんがお持ちの演出意図によって、終わりかたが変更されていたということがあって。ただ私としては、曲の感じがその終わりかたでは意図しないものになるので、最後に書き直した、といったことがありました。

 ――意図しないもの、というのは?

下村 フェードアウトして消えるようになっていました。私はそのつもりでこの曲を書いていなかったので、違和感を覚えたんです。それだったら、絵に合わせた終わりかたにしようと、トレーラーの内容に合わせて最後の最後に書き直させてもらいました。

――曲はご自身のお子さんと同じ、という下村さんのこだわりを感じます。

下村 これをやってしまうと、しんどいんですけどね(笑)。ただ、ユーザーさんに対しては結果でしか表現できないので、私はこれが自分の仕事ととして世に出るのは違うと思ったんです。田畑さんも作品にこだわりをお持ちですし、私もそうなので、これからもたくさん話をして、それが曲にとっていい形に結び付けばと思っています。