Googleが今日(米国時間8/10)、近くAndroid上でKhronos GroupのグラフィクスAPI Vulkanをサポートする、と発表した。
Vulkanの目標はAppleのiOSとOS XのためのMetal APIととてもよく似ている。Vulkanはオーバヘッドの少ないグラフィクスAPIで、デベロッパはGPUに直接アクセスできる機会が多く、グラフィクスの描かれ方を細かくコントロールできる。
今日の発表声明でGoogleは、“今のAPIはマルチスレッドによく適応していないので、効率的な並列処理ができず、ロックによる同期化が必要になることが多い”、と言っている。
Vulkan APIを開発してメンテナンスしているKhronos Groupは、OpenGLやWebGLなどのスタンダードにも貢献しており、Vulkanはいわば、次世代のOpenGLだ。Khronos GroupがVulkanを発表したのは3月で、そのときからすでにソフトウェアとハードウェアのパートナーがかなりいる。しかしオペレーティングシステムからのサポートは今回のGoogle Androidが初である。
Khronos Groupの社長Neil Trevettは、こう述べている: “ハードウェア企業とソフトウェア企業は、市場へのリーチを最大化し、ポート費用を最小化するために、オープンな3D APIを必要とする。Vulkanは多くの業界リーダーたちが参加した幅広いコンソーシアムで、まさにそのために案出された。VulkanがAndroid、Windows、Linux、SteamOS などでサポートされるようになれば、デベロッパにとってたいへん心強い開発環境になり、高品質なコンテンツやアプリケーションをあらゆるプラットホーム向けに、ロイヤリティのないスタンダードを使って作っていけるようになる”。
ただしそのスタンダードは目下開発中なので、今年後半のAndroid Mオペレーティングシステムのローンチには間に合わないと思われるが、でも、PowerVR GPUを作っているImagination Technologiesがすでに、プロトタイプのドライバを使って、Android上のVulkanをデモしている。
GoogleはAndroidでOpenGL ESスタンダードをサポートしており、それは今後も続ける、と言っている。今のところデベロッパにとって、OpenGL ESの方が使いやすいと思われるが、デベロッパの自由度はVulkanの方が大きい。
GoogleのテクニカルプログラムマネージャShannon Woodsが、今日の発表声明でこう述べている: “弊社はデベロッパがどのAPIを選んでも優れたデベロッパ体験を得られるよう、尽力していく”。