8月6日、民主党・有田芳生議員が参議院法務委員会で質疑を行った。有田議員は、安保法案に反対の声を上げ、デモを主催する学生団体「SEALDs」に参加した学生の個人情報がネット上にさらされていることに関し、「就職差別」に繋がるのではないかという懸念が出ている事態について、上川陽子法務大臣に質問。本記事では、その質疑の様子を書き起こしでお伝えする。
実際の質疑の様子は参議院インターネット審議中継で確認することができる。(※可読性を考慮して一部発言を文章として整えています。)
非常に由々しき問題がネット上で広まっております
今、安保法案をめぐって全国各地で様々な賛否両論の声が沸き起こっております。この国会正門前にも、毎週金曜夜7時半~9時半ぐらいまで、SEALDs、自由と民主主義のための学生研究行動という、今非常に注目されている学生たちが安保法案反対の声を挙げております。
その彼らに対して、非常に由々しき問題が、特にネット上で広まっております。どういうことかと言いますと、彼らの名前、年齢、大学名、顔写真などがネットでずっとさらされており、ほとんど匿名ですけれども、同時に経済評論家などがそれを拡大しているという事実があります。
これは、この一連の動きの中で、高校生も含め大学生たちが安保法案に反対した行動をした時に、「そんなことをやっていたら、就職差別されるよ」というような、匿名の誹謗中傷、攻撃に近いものがあった。その延長上で、SEALDsの学生たちの名前から、全てと言っていいぐらい暴露されている。
これは私の感覚では、今でも問題ですけれども、部落地名総鑑。被差別部落の人達が住んでいる住所などが表沙汰になって、結果的に就職差別、結婚差別というものが起きて参りました。そういうものに通じるような事態というものが、今現在、この時間にも、ネット上を通じて行われているという非常に由々しき問題だと思います。法務大臣、どのように思われますか?
上川陽子法務大臣(以下、上川):今、委員の方からご指摘をいただきましたSEALDsという団体についてのご言及でございますけれども。事実関係につきまして、私、正確に把握しているところではございませんで、その意味ではお答えをするのが、なかなか難しいというところではございますが、一般論として申し上げますと、デモ行進と集団行動の自由ということにつきましては、表現の自由ということで、これは憲法上保障されているものでございます。
それのみを理由として、就職等の差別がされるようなことがあるとすれば、それはあってはならないことだと考えております。
有田:就職差別があってはいけないということは当然なんですが、それをそそのかすような言論がネット上を通じて今でも行われている。それについて、どう思うかとお尋ねしております。
上川:委員からご指摘がございました、そうした事態ということでございますが、私、自身正確に把握をしているところではございませんので、正確にお答えするというのは、なかなか難しいと、先ほど申し上げた通りでございます。
しかし、今の憲法上、保障されている行動の中から、様々な事態が起こるとするならば、それはあってはならないことだという風に思っております。
有田:今からお尋ねするヘイトスピーチを始めとする差別の問題についても、匿名で卑劣にもインターネット上で今でも毎日繰り返し行われているということは、この委員会で、何度もお聴きをした通りです。
その時、法務大臣は、もっとスッキリした答弁をしてくださっていたんですけれど、それはまた改めてお聴きをする機会があるかと思います。(※その後、有田議員は本来の議題である「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」について質問を行った)