空飛ぶハッカー、それはドローン。
これまでの軍事用ドローンは、爆撃や偵察に使われてきました。でも、どうやらもっと先進的な使い方があるようですよ。
今年の7月、ウィキリークスに機密情報をふくむメールが掲載されました。それによると、今年の初めにボーイングとミラノのハッキングチームが、マルウェアを仕込んだドローンで空からパソコンをハッキングする打ち合わせをしていたそうです。そのやりとりをしていたメールを盗まれたのは、ハッキングチームでした。間抜けですね。
さて、空からのハッキングが活用されるのは、こんなケースです。たとえば、米軍が逃走中のスパイを追いかけている時、そのスパイが米国と同盟関係にない国に逃げ込んだとします。どうしても捕まえないとマズいのに、逃げ込んだ国が彼を保護したか山奥に隠れているのか、見つけられません。
その国のネットワークを片っ端からハッキングすることもできますが、時間がかかりますし、うまくいく保証もありません。ですが、マルウェアを搭載したドローンをスパイが潜伏している地域に飛ばせば、ネットワーク上の動きを監視したり、待ち伏せができます。
ウィキリークスが暴露したやりとりに関して、ボーイングもハッキングチームもコメントを拒否しています。ですが、航空宇宙や軍事の専門家は、ドローンを使ったハッキング技術が、これから市場価値を持つだろうと分析しています。
ネットワークについて研究をしているCollin Anderson氏は、「この方法を使えば、あらゆるパソコンを、自分の部屋にあるパソコンと同じように監視することができます」とコメントしています。
それに、ハッキングでWi-Fiネットワークを無効にすれば、敵側の通信やドローンの飛行を妨害できます。また、「ハニーポット」と呼ばれるニセのネットワークを作って攪乱させることもできます。敵の拠点から離れた安全な所から攻撃できる上に、そこまで高度な技術も必要ありません。
ドローン研究者のColin Snow氏は、次のようにコメントしています。「今まで兵士が危険地帯に潜入してやってきた膨大な仕事を、ドローンが代行してくれますよ」。
というわけで、かなり信憑性が高そうな話。すでに始まっていますが、これからは戦場でのサイバー戦争も熾烈なものになりそうですね。
Image by shutterstock
source: The Washington Post
(高橋ミレイ)