ライフハッカー編集部 - ニュース・コラム,仕事術,生産性向上,科学 12:00 PM
「声を出して作業を確認」には効果がある:研究結果
レポートの締め切りが迫っている時であれ、なくした鍵を探している時であれ、タスクの達成には集中力が肝心です。何しろ、気を散らせる要素は至るところにあります。そうしたものに気を取られていたら、いつまでたってもやるべきことは終わりません。
集中力が削がれて作業が遅れがちだとしたら、作業プロセスを実際に声に出してみるという手があるようです。
学術誌の『Quarterly Journal for Experimental Psychology』に、ある研究が掲載されています。この研究では、被験者を2つのグループに分け、片方のグループには、さまざまな物が描かれた絵画からバナナを探すよう指示しました。もう片方にも同じタスクを課しましたが、こちらのグループは、探している物の名前を口に出して言うよう指示されました。すると、声に出したグループのほうが、バナナを見つけるまでにかかる時間がわずかながら短くなるという結果が出たそうです。論文は、以下のように結論づけています。
(前略)言語によるラベル貼りは、現在進行中の認知処理に影響を与える可能性があります。例えば、実際に「椅子」という言葉を耳にするほうが、ただ頭の中で椅子を思い浮かべるのと比べて、視覚系の「椅子探知機」としての能力が高まるというわけです。被験者たちは一般的な物体を探しましたが、一部の被験者たちは、探している物の名前を声に出すように指示されました。声を出すことには、探索を容易にする効果がありました。特に、探している対象の名前と見た目の関連性が強いケースでは、この効果が高まりました。
この実験は、物を探すという課題に限って効果を確認したものですが、集中力を必要とするそのほかのタスクでも、この方法を試す価値はあるはずです。もちろん、独り言の内容は、その時々に実行しなければならないプロセスやタスクに関するものでなくてはなりません。上に挙げた研究結果でも、口にする内容と探している物があまりに違いすぎる場合は、独り言はかえってマイナスの効果をもたらすことがわかっています。LiveScienceの記事では、この結果をこう紹介しています。
独り言は、精神に異常をきたしている証ではなく、実は考えをまとめ、認知能力を高める効果がある、という研究結果が出ています。ぶつぶつと自分に話しかけている様子は、どうかしているようにも見えますが、過去の研究結果によると、子供が自分に向けて発する言葉は、行動の助けになることもわかっています。例としては、子供が靴ひもを結ぶ途中に、その手順をステップごとに声に出しているといったケースが挙げられます。子供は独り言によって、目の前の課題への集中を促しているようなのです(中略)。「この結果をより大きな視点で見たポイントは、言語は単なるコミュニケーションのシステムではない、ということです。言語には認知や思考を支える効果もあるというのが、私の主張です」と、この研究論文の共著者の1人であるGary Lupyan氏はLiveScienceに対して語っています。
この記事は、自分に話しかけることが認知能力を高める仕組みについて、さらに詳しく説明しています。全文を読みたい人は、以下のリンクをチェックしてみてください。
Self-directed speech affects visual search performance|The Quarterly Journal for Experimental Psychology via LiveScience.
Kristin Wong(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)