ロボットのヒッチハイク旅が最悪の結末に! 今後どうなる「人とロボットの関係」 | ニコニコニュース

YouTube内の「HitchBOT’s U.S. Tour Ends With Vandalization in Philly | NBC Nightly News」より。
おたぽる

 感動的な出会いもあれば予想外のハプニングも待ち受けるヒッチハイク旅だが、昨今ではロボットがヒッチハイクに挑戦している。そして先頃、勢い勇んで(!?)初めてのアメリカでヒッチハイクの旅を始めたのだが......。

■ヒッチハイクロボットの悲惨なアメリカ旅行

 カナダで作られたヒッチハイク専用ロボットが、この「Hitchbot(ヒッチボット)」君だ。Hitchbot君の活動はヒッチハイクを通じて、ロボットと人間の関係性を研究する社会実験にもなっている。カナダのフラウケ・ゼラー助教とデイビッド・スミス教授によって作られた、このHitchbot君は常時3G回線かWi-Fiにつながっており、旅の詳細をリアルタイムで報告し、各種のソーシャルメディアやウィキペディアにアクセスでき、行き先を告げるなど簡単な会話をする能力も備えている。

 昨年、地元のカナダで約6230キロ(3871マイル)にも及ぶ初めてのヒッチハイクの旅を26日間かけて大成功のうちに終え、余勢を駆ってヨーロッパ本土にも訪れ、今年2月にはドイツで10日間、6月にオランダで18日間のヒッチハイク旅を無事に成し遂げた。ドイツではレストランに連れていかれてビールまでおごってもらえたというから愉快だ。

 そしてこの7月の半ば、これまでの積み重ねてきた実績をもとに、順風満帆でアメリカ本土へやって来たHitchbot君は、ボストンを出発点にして初のアメリカ大陸でのヒッチハイク旅に出たのだが......。

 ボストンからグランドキャニオンを目指して始まったヒッチハイク旅の出足は順調だったが、スタートして2週間あまりで到達したフィラデルフィアで移動が停滞。そして8月2日の未明に、見るも無残なバラバラに破壊された姿で発見されたのだ。こうしてHitchbot君の4度目の旅は、初めて中止の事態を迎えて幕を閉じた。

■今後の課題となる「人とロボットの関係」

 今回のヒッチハイク旅は残念な結末を迎えてしまったが、ゼラー助教らはまだまだこの社会実験を続けるという。これまでHitchbot君を応援し、実際に車に乗せてくれた人たちのためにも、このような最期で終わらせることはできないということだろう。

 これからさまざまな場所でロボットと接する機会が徐々に増えていくことが見込まれていて、まさに今後の課題になるかもしれないのが、Hitchbot君の社会実験の目的でもある「人とロボットの関係」である。

 2009年からプロジェクトが始動し、現在も着々と試験運転を続けているグーグルの自動運転車だが、6年間で11回の事故に遭遇していたことが少し前に発表された。これに関してグーグル側は、11件すべての事故が「もらい事故」であると主張している。確かに、交通規則の遵守をプログラムされている自動運転車が自ら事故を起こす可能性はほとんどないとは思われるが、交差点での右折や路地から幹線道路へ出る際など、人間のドライバー同士ならお互いの表情を確認し合うなどして融通を利かせる局面で、意思疎通が難しい自動運転車がどうやって対応したらいいのか、対策を検討しなければならないかもしれない。

 すでに販売されている人型ロボット「Pepper(ペッパー)」や「NAO(ナオ)」などの活躍も各方面から聞かれるようになり、今後はサービス業へのロボットの進出がますます進むと見込まれる中、「人とロボットの関係」を考えさせられることが増えてきそうだ。
(文/仲田しんじ)

【参考】

・The Verge
http://www.theverge.com/2015/8/2/9087171/hitchbot-cross-country-trip-comes-to-unfortunate-end

・AP通信
http://bigstory.ap.org/article/297ef1bfb75847de95d856fb08dc0687/ap-exclusive-self-driving-cars-getting-dinged-california