【カイロ時事】エジプトの首都カイロ郊外で過激派組織「イスラム国」傘下の武装組織「イスラム国シナイ州」に拉致されたクロアチア人男性とみられる遺体の画像が12日、インターネット上に投稿された。「イスラム国」が地域大国のエジプトで外国人を標的にし、残忍な手法で殺害するのはこれが初めて。
画像には、砂漠で体の一部を切断された男性の姿が映し出され、隅に「シナイ州」のロゴが入っている。付されたメッセージは「イスラム国と戦うクロアチアの人質殺害。タイムリミットは過ぎ、クロアチアとエジプト背教政府は彼を見捨てた」と主張している。
クロアチア人男性は7月22日、車で通勤中に武装集団に襲われ、行方が分からなくなっていた。武装組織は今月5日、ネット上に動画を投稿。拉致された本人とみられる男性が「エジプトで収監中のイスラム教徒の女性が48時間以内に釈放されなければ、私はシナイ州に殺される」と訴えていた。
武装組織は、イスラム組織ムスリム同胞団出身のモルシ元大統領に対する事実上のクーデターを受けて発足したシシ政権を敵視している。
カイロには日本人数百人を含む多数の外国人が暮らしており、在留邦人の間にも衝撃が走っている。在エジプト日本大使館は在留邦人に対し、誘拐の危険を避けるため「通勤の時間や経路を予知されないよう、固定化しないこと」などと呼び掛ける注意喚起を出した。