「お年玉」のお盆版である「お盆玉」が新たな習慣として注目されている。お年玉袋を発売してきた日本郵便が2014年夏から「お盆玉袋」の発売を始めたことで、そのネーミングが広がった。シニア世代を中心に、孫や親戚の子どもに「お盆玉」を渡す機会が増えるかもしれない。
ただ、ネットの掲示板では「とうとうお盆も帰省できなくなる」「子供は嬉しいかもしれないけれど、大人にとっては最悪なんやで」「余計なもん流行らすな」など、戦々恐々とする書き込みが見られた。逆に、「子供にとっては元気玉」というコメントもあった。
もらう側にとっては、お年玉と合わせると、年間の金額が2倍になる可能性もある。そこで気になるのが、税金の話だ。「お年玉」と「お盆玉」を合わせて、どれくらいの金額になると税金がかかるのだろうか。野口五丈税理士に聞いた。
●110万円を超えると税金がかかる「『お年玉』と『お盆玉』には贈与税がかかる場合があります。贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です」
お年玉とお盆玉がどれぐらいの金額になると「贈与税」がかかるのだろうか。
「『お年玉』と『お盆玉』という形で1年間にもらう合計額が110万円を超えると贈与税がかかります。贈与税は、1人あたり、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に対してかかるためです。
つまり、1年間にもらった『お年玉』と『お盆玉』の合計額が110万円以下なら贈与税はかからないのです。この場合、贈与税の申告も不要です」
もし110万円を超えた場合はどうなるのか。
「庶民で『お年玉』と『お盆玉』で110万円を超えることはなかなか考えにくいですが、たとえば資産家の方で『お年玉』と『お盆玉』として500万円をあげた場合、計算すると、52万円の贈与税が発生することになります。
また、毎年110万円までは贈与税はかからないと説明しましたが、毎年同額の『お年玉』と『お盆玉』を渡していると贈与税がかかる場合があるので注意が必要です」
それはなぜだろうか。
「たとえば、毎年100万円を10年間渡しつづけていると、『1000万円の贈与を単に1年ずつ10回に分けている』と税務署で判断されることがあります。
『1年に100万円の贈与を受け取る』という判断ではなく、『毎年100万円ずつ10年間に渡ってもらえる権利を最初の年に受け取った』と判断されてしまうためです。
こういった事態を避けるためには、毎年『お年玉』と『お盆玉』の金額を変える、贈与日を変える、などの工夫が必要でしょう。
『お年玉』も『お盆玉』も、本来楽しいイベントなので、突然税金が発生して台無し!なんてことにならないように気を付けたいですね」
野口税理士はこのように話していた。
【取材協力税理士】
野口 五丈(のぐち いつたけ)税理士
ご紹介文:ITベンチャー企業の支援に特化した会計事務所。
節税だけでなく、クラウド会計やベンチャーキャピタルからの資金調達、補助金申請支援(創業補助金、ものづくり補助金)を強みとする。支援実績多数。
事務所名:野口五丈公認会計士事務所
事務所URL: http://itsutake.com/
(弁護士ドットコムニュース)