灼熱の太陽の下、ミミズが路上で息絶えている姿。誰もが一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
「教えて!goo」の「夏のミミズたちの路上自殺はなぜ?」には、「毎年真夏になると、毎日、路上でたくさんのミミズが死んでいます。なぜ彼らは、地中で避暑ができないのでしょうか?」という疑問が投稿されている。確かに疑問である。これに対して、
「ミミズは水分が100%に近く、表面の皮膚に浸透圧の調節とか保湿断熱能力が無いので、地中の温度上昇や乾燥によって座して死を待つよりもより良い環境を求めて移動するのではないでしょうか?」(lions-123さん)
「ミミズは土地を肥やす働き者なので、沢山仕事がしたいと思っています。隣の土地も肥やしたいと思い朝露にぬれる時間帯に移動を開始するのですが、目が無いのでうっかりアスファルトの上に迷い込んでしまいます」(ginzakeさん)
「大量のミミズが同時に現れるタイミングは月齢に関係あるのではないか、という観察報告もあるようです」(xs200さん)
など、興味深い回答が続々と寄せられた。
■ミミズのからだの構造に秘密があった!
「雨あがりの遊歩道にからだをくねらせて、はいまわるミミズ。炎天下の歩道上でからだを
と語るのは、東京学芸大学の藍 尚禮(あい なおひろ)名誉教授。
「環形動物のミミズは、呼吸のための装置を持っていません。なので、からだの表面全体で呼吸をしているわけです。つまり“皮膚呼吸”です」(藍名誉教授)
環形動物とは、ミミズやヒルなど、細長い輪のような体節からなる動物の総称。この皮膚呼吸が原因で、地中から地上に逃れてしまうのだという。
「呼吸器が無いために、雨水が溜まった土の中ではやがて息苦しくなります。また、土が太陽光で熱くなった時、体温調節のできないミミズは必死で地上にはい出てしまいます。いずれも目の無いミミズにとっては、最も危険な生きるための逃避。それで生命を落とすことになるというわけなのです」(藍名誉教授)
雨が多い梅雨や気温が上昇する夏は、ミミズにとって非常に過酷な環境なのだ。夏の路上で干からびているミミズ。それは、生きようと必死にあがいた彼らの軌跡ともいうべき姿なのかもしれない。
(酒井理恵)
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)