Google Playで配信中の日本製アプリが開発元に許可なく中国語に翻訳され、収益源となるバナー広告も中国のものに差し替えられた状態で、中国の独自アプリマーケットでいくつも配信されているようだ。日本の開発者の間で話題になっている。
個人開発者のTOMEさんのサイト「tomeapp」によると、ハルシオンシステムが提供している「美少女無料育成ゲーム ポケットガール 〜永久の錬金術師〜」が、同社の知らない間にアプリ本体ごと盗まれていた。「撲家」(「撲」は中国文字)と名乗る中国企業が勝手に中国語化し、ゲーム内に表示している広告も中国系のアドネットワークに差し替えて配信しているという。
この海賊版を配信しているサイトでは、「美少女育成 - 永遠の錬金術師 中国語版」というタイトルが中国語で付けられている。撲家はこれを「オリジナルの中国語版アプリ」と主張しているようだが、開発者のZabosamaさんは「ポケットガールが中国にパクられました。ふざけんなー!!!」とツイートしている。
他にも、中国のアプリマーケットでは日本でヒットしたアプリの海賊版が多数発見されている。人気アプリ「リア充爆発しろ!」開発者の上原さんによると、上原さんが自らアプリの中国語版を出した際、その1カ月ほど前からすでに“勝手に翻訳された海賊版”が出回っていたこともあったという。
この背景には、Androidアプリストアをめぐる中国独特の事情があるようだ。米Googleの公式アプリストア「Google Play」は、同社が中国市場から撤退しているため中国では利用できない。一方、Androidスマートフォンは中国市場をほぼ独占しており、独自のアプリマーケットが多数存在している。そんな乱立状態のマーケットで優位に立とうとしてか、海賊版アプリがまん延しているようだ。
撲家のWebサイトを見ると「このアプリの中国語化はわれわれのグループが行ったものであり、許可のない盗用は厳禁です」とも書かれている。問題はかなり深刻なようだ。