夏が近づくと、一気に消費量が増える清涼飲料水。ノドが渇くとついつい飲んでしまいます。コーラを筆頭として、清涼飲料水は体に悪いという話もよく耳にしますよね。しかし、悪いとは知りつつ、どう悪いのか具体的なことはわかりません。砂糖がいっぱい入っているらしいですが、「ただのジュースだし、お菓子よりは太らないんじゃないの?」という気もします。今回は、清涼飲料水が体やダイエットにどう悪いのかを医師の山田先生に聞いてみました。今まで無意識に飲んでいた人も多いかもしれませんが、実はいろいろな意味で怖いものだったんです!
■ 清涼飲料水のヤバさ
◎ 砂糖の量がすごい!
ペットボトルのラベルには成分表示が書いてありますが、正直砂糖がどれだけ入っているかはよくわかりませんよね。しかし、知らないだけでたくさん入っているんです。角砂糖に換算すると、500ml入りのコーラだと何と15個分!これだけ入っていて、ダイエットを阻害しないはずがありません。
◎ 太る&糖尿病の危険が?
アメリカに住むジョージ・プライアーさんは、1ヶ月の間、コーラを毎日10缶飲むという実験をして有名になりました。実験を行う前の彼はジムに通っており、筋肉のある均整のとれた体をしていました。しかし、実験後は実験前から14kgもの体重増。お腹がぼってりして、全体的に少しふっくらした印象を受けます。プライアーさんの実験を受け、コカ・コーラ社は「肥満は、食事と飲み物から摂取される総カロリーに起因します。健康的な体重を維持する唯一証明された方法は、運動などを交えてカロリーのバランスを取ることです。肥満は複雑な問題であり、1種類の食事や飲み物を取り上げて解決できるものではありません。」との声明を発表。コーラのせいだけではないにせよ、プライアーさんの変化を見ると少し怖いような気もします。糖分の過剰な摂取は避けたいものですね。
> 山田先生「コーラとか清涼飲料水で一番嫌なのは、血糖値が上がることによって肥満と糖尿病になることですよね。長距離トラックのドライバーさんには肥満や糖尿病の人が多いそうです。彼らはけっこう飲むけど長距離運転だから、(大量に飲んだっていう感じが)ないんですよね。エンジニアさんもその傾向があります」
◎ じわじわ怖い人工甘味料
清涼飲料水に入っている甘味料は糖分のみではなく、「人工甘味料」というものもあります。人工甘味料が使用されている場合は「カロリーゼロ」などとうたわれていますが、人体への影響はないのでしょうか?
> 山田先生「アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースといった人工甘味料は、甘みへの依存性の効果や味覚を鈍化させ、ホルモンに影響することも報告されています。2009年の調査では、ダイエット・ソーダを毎日飲む人は、メタボリック症候群に36%、糖尿病には67%のリスクが高まることがわかっています」
最近は清涼飲料水にアスパルテームやスクラロースといったものがよく使われています。どちらも自然界には存在しない甘味料であり、安全、危険と議論が分かれている状態のようです。議論が分かれているとはいうものの、そういう風に考えている人もいるということがもう怖いですよね……。また、最近トクホのダイエットコーラが発売されましたが、ダイエットコーラにも人工甘味料は使われています。ダイエットに多少は効果があるのかもしれませんが、飲み過ぎには要注意!というわけで、山田先生いわく「ダイエットを一番阻害する飲み物」は、1位は「砂糖が入っているもの」で、2位は「人工甘味料(砂糖以外)が入っているもの」。清涼飲料水には大体どちらかが入っているので、ダイエット中はできるだけ控えたほうがいい、ということですね。
■ 清涼飲料水大好きな人はダイエット中どうすればいいの?
肥満に悩む人たちに糖質制限ダイエットの指導も行っているという山田先生。炭酸飲料、特にコーラやファンタなどが好きな人は多いですが、そういう人たちはダイエット中どうすればいいのかを聞いてみました。
◎ 糖質制限ダイエットをキッチリやっている人の場合
> 山田先生「炭水化物を調整してください」
清涼飲料水に含まれる糖分は炭水化物のカテゴリーに含まれます。糖質制限ダイエットは炭水化物を1日40g程度に制限するものなので、その40gに収まっていればOK。ジュースを飲みたい人はその他の炭水化物を控えればジュースを飲んでも大丈夫なんです。ちなみにコーラの糖質は100mlあたり11g程度。500mlペットボトルのコーラを飲むと糖質は55gになり、コーラを飲んだ日は他の炭水化物は取れない計算になります。
◎ 標準体重の人、糖質制限ダイエットはしてないけどこれ以上太りたくない人の場合
> 山田先生「糖質制限ダイエットをしている人であれば、炭水化物は40gですが…まあでも全カロリーの50%程度におさえておけばよいので、もし1日摂取カロリーが1500kcal であれば、50%の750kcal を炭水化物系で摂取できます」
炭水化物は1gあたり4kcal なので、約187g 程度までOKという計算に。そのうちコーラ500mL1本で55g 分使っていますので、残り132g まで食べてもいいということになります。ちなみにおにぎりは1個120gで炭水化物量は47g 。だいたい1日4個までOKということになります。その中でコーラを摂取すると1日3個までOKになります。そして炭水化物は副菜にも含まれているそうなので、朝と昼おにぎりを食べ、コーラを飲んだら夜はおにぎりなしという感じになるようです。
> 山田先生「でもこの炭水化物を摂っていい量っていうのは筋肉量にもすごく依存しますね。20代のころは極めて効率のいい筋肉だから、多少食べても肥満にはなりにくい。でもそれを30代、40代になっても続けるのはよくないですね。自分も夜はほとんど(炭水化物を)とらないようにしています」
また、甘味料の入った炭酸飲料はよくないですが、炭酸水自体はダイエットなどさまざまな効能が期待できるそうです。満腹感を得られる効果もあるようなので、甘い炭酸飲料の代わりに飲んでみてはいかがでしょう?
■ たまに飲むからおいしく感じるのかも?
> 山田先生「おいしいものだからこそ、自分にとってはスペシャルなのではないでしょうか?何もかも欲張っちゃうのはダメ。必ず歯車が壊れてしまいます。プレゼントってたまにあるからこそいいものになるんですよね」
今や日本人の生活にすっかり入り込んでしまった清涼飲料水。大好きな人にとっては、完全に禁じてダイエットを頑張るというのは難しいことなのかもしれません。しかし、おいしいものだって常に口にしていては飽きがきます。「ダイエット期間中は一滴も口にしてはダメ!」というわけでもないので、1日の摂取量の許容範囲内で摂取したり、自分へのご褒美にするなど工夫してみてください。
◎ 取材協力
山田洋太先生:企業の健康管理システムなどを手がける株式会社iCARE 代表取締役、医師。金沢大学医学部医学科卒業後、沖縄県立中部病院、久米島の離島医療を経て慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。会社経営と医師としての診療の双方を並行して行っている。
(著&編集:nanapi編集部)