もはや「日本人の国民食」といっても過言ではない「カレー」。全国の家庭で老若男女を問わず愛されるメニューだが、日本でもっとも「カレー好きな都道府県」といったらどこだろう? 総務省が昨年発表した「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」(2012年~2014年の平均)によると、「カレールウ」に対する年間支出額TOP10はご覧の通り。
■カレールウに対する年間支出金額TOP10
全国平均は1418円。カレールウ1箱(約7~10人前)がおよそ200~300円程度と考えると、トップの鳥取市は、「1世帯あたり年間7箱程度」を消費する計算になる。仮に「1箱7人前」としたら、7人前×7箱で49人前。1回の食事で「1人・1人前」を食べるとすると、4人世帯なら「1人あたり年約12人前(=12回)」、を食べることになる。少なく見積もってこの数字なら、確かにかなりの頻度のような…
なぜ鳥取市にはカレー好きの家庭が多いのか? カレー総研代表でカレー大學学長の井上岳久さんは次のように考察する。
「1位の鳥取県には、いわゆる“ご当地カレー”として象徴されるカレーメニューは存在しません。そもそもカレーは、戦前は軍隊、戦後は給食によって、全国に“基本のレシピ”が広まったのですが、鳥取県では今も昔からのスタンダードな欧風カレーが親しまれています。東京など流行に敏感な地域では次々と新しい食べ物が登場しますが、鳥取をはじめとする大都市から離れた地域や雪国では、保守的な土地柄もあって、馴染み深いメニュー(=カレー)が食卓に登場する回数も多いのでは?」
さらに、「女性の有職率との関係もあるのでは」と井上さん。鳥取県は「25~44歳の育児をしている女性の有業率」が71.8%と全国4位(総務省:「女性・高齢者の就業状況」平成24年)。この調査の1位は島根県、2位は山形県で、カレールウ支出金額TOP10の県はすべて上位に入っている。忙しいお母さんにとって、手軽に作れるカレーは強い味方になっているのかも。
そのほか、いわゆる「米どころ」と呼ばれる地域では、ごはんをたくさん食べられるメニューとしてカレーが好まれる一面もあるのだとか。
ちなみに、家庭では「保守的なカレー」が親しまれている鳥取だが、外食先としても、バラエティに富んだカレー屋さんが多いという。
「欧風カレーやインドカレーなど、鳥取は驚くほどカレー店のバリエーションが豊かです。家庭でオーソドックスなカレーをよく食べる反動もあってか、県民はちょっと変わったカレーを求めている様子。カレーにチョコレートを入れる、トウガラシを入れるなど、今では珍しくない“隠し味”も、鳥取では昔から浸透していたようです」
頻繁に食べても飽きないように工夫を凝らす探究心は、さすが「カレー王国・鳥取」といったところ。古今東西の味が混在する鳥取から、新しいカレーが誕生する日も遠くないかもしれない?
※当記事は2015年08月13日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。