デザイナー佐野研二郎さんは8月14日、盗用疑惑が指摘されていたトートバッグについて、スタッフが第三者のデザインをトレースしていたことを明らかにして謝罪した。自身のデザイン事務所MR_DESIGNのWebサイトにコメントを掲載している。
トートバッグはサントリーのキャンペーンの賞品として作られたもので、ネットの画像を無断で使用したのではないかと指摘されていた。トートバッグは佐野さんの管理のもと複数のデザイナーと共同で制作し、佐野さんがコンセプトを打ち立てて、各デザイナーがデザインを作成した。指摘を受けて調査したところ、デザインの一部で第三者のデザインをトレースしていたことが判明したという。
第三者のデザインを利用した点については弁護士の法的見解を確認しているところだが、佐野さんは法的問題以前にデザイナーとしてあってはならないこととしている。許諾の得られたデザインであっても、「トレースして使用するということは、私のデザイナーとしてのポリシーに反するものです」とも述べている。
佐野さんは社内の連絡体制やスタッフ教育が不十分だったとし、今後はスタッフへの教育の充実など再発防止に努めるとしている。トートバッグは佐野さんの申し出により、8点を賞品から取り下げている。
また過去の作品についても問題があるとするネット上に指摘に対して、佐野さんは「その制作過程において、法的・道義的に何ら問題となる点は確認されておらず、また権利を主張される方から問い合わせを受けたという事実もございません」とコメント。
五輪エンブレムについては、MR_DESIGNではなく個人で応募したもので、共同で制作したスタッフもいないとして、「模倣は一切ない」とする会見のコメントをあらためて述べた。五輪エンブレムについては、類似性を指摘していたデザイナーの弁護士らが、国際オリンピック委員会(IOC)に使用差し止めを求める訴えを起こしたと報じられている。