お天気お姉さんがロボットになる日 | ニコニコニュース

GIZMODO

機械はたいていのことを普通の人間より上手にやってくれます。今や機械は、テレビに映る気象予報士よりも正確に天気を予測できちゃうんだそうです。

マイクロソフトの研究者、Ashish KapoorさんとEric Horvitzさんは24時間の天気をより正確に予測するために、機械学習を使っています。このロボット天気予報、5日間の天気は予測できませんが、1日の天気はより正確な予報を出すことができるんです。

どうやって? そのコツは予測しないこと。この天気予報には、過去の膨大なデータが使われます。歴史は繰り返される、という言葉は天気にも適用できるんですね。過去のデータがあれば、予測を作る必要がなくなり、データをつきあわせるだけでよくなるんです。Kapoorさんは米Gizmodoに対し、こんな例を話してくれました。

---------------------------------------

今日のシアトルは晴れときどき曇り。こういう場合のシアトルの気圧と気温のデータがあります。もし私が100年分のデータを持っていたとしたら、今日の天気にぴったり一致する日のデータを見つけることができるでしょう。1955年の6月2日が今日の天気にそっくりだとします。

すると、明日の天気は1955年の6月3日のようになるのでは、と考えられるのです。私は自然現象をまったく考慮していませんが、データの力を利用して、理にかなう予測を作ることができるんです。


---------------------------------------

現在、研究者たちは物理的モデリング(=今後の気象情報の地図を用いた古い天気予報の方法)と過去の天気がどのように変わったか分析する機械学習の方法を組み合わせています。研究では、すでに人工視力や人工音声の改善にも役立てられている、ディープ・ニューラル・ネットワークが用いられました。新しい予測は、風速と露点温度、気圧帯の場所(ジオポテンシャル高度)、温度についてこれまでよりずっと誤差が少なくなっています。

RMSは平均二乗誤差で、小さいほど精度が高いことを表します。一番右の灰色の棒が今回の研究のもの。

「ディープ・ニューラル・ネットワークは、変数の中でも明確な仮定を作ることなく、従属状態を見つけようとします。これらのモデルは自動で関係性を学習するので、関係性を記号化する必要すらありません」とKapoorさんは語ります。

実は、Kapoorさんが気象システムを理解するために機械学習を使うのは、これが初めてではありません。Kapoorさんの機械学習アルゴリズムは、何万にもおよぶ商用飛行機の計画された速度、距離、高度そして観測される対地速度のような米連邦航空局のデータを使い、上空で吹く風の流れを見つけ出すことに成功しています。

「機械学習アルゴリズムは、今日という日を歴史上のとても複雑な関数として表現しようとします。この関数を使うことで、未来がどうなるかを予測することができるのです」とKapoorさんは話しています。

ロボット気象予報士が地域の天気予報に登場するまでは、まだまだ時間がかかることでしょう。Kapoorさんは正確に予測できる期間を長くする方法を研究しているところですが、今のところ、この予測方法は24時間の枠の中でしか正確ではないからです。しかし研究チームは、科学者たちがこの研究によって、天気のパターンに応じた気候変動の影響をより理解できるようになると考えています。

この研究は人工視力から天気予報まで、私たちの生活のあらゆる場面で入り込んでくるであろう、機械学習の素敵な一面を垣間見せてくれるものと言えそうです。将来のお天気キャスターが、私たちと同じような生身の脳みそを持っているか、それともシリコンチップを搭載しているのか…どうでしょうね!

top image by Sputanski/Shutterstock
source: A Deep Hybrid Model for Weather Forecasting via Microsoft Research

Darren Orf - Gizmodo US[原文
(conejo)


【大きな画像や動画はこちら】