数十年後の未来に向かって邁進。
年内には登場する「モデルX」や2017年に向け開発が進む低価格モデルの「モデル3」など、今後の展開がますます楽しみなテスラ。どうも成功しているイメージが強いテスラですが、先日発表された決算の数字を見ると、ちょっと心配になるほどにテスラの赤字が膨らんでいるんです。
第2四半期の決算報告によれば、テスラは前年比52%増の約11,500台販売しながらも4,700万ドル(約59億円)の営業損失を計上しています。つまり、単純計算で1台あたり4,000ドル(約50万円)の損失を出しているわけなんです。そして営業損失を含めた企業全体の損益は、なんと1億8420万ドル(約230億円)の大赤字でした。
もちろんテスラの車が売れば売るほど赤字を生むわけではなく、これはモデルXに向けた15億ドルという多額の設備投資と、2カ月前から始まった同社のバッテリー工場「Gigafactory」の建設費用が主な要因なんだとか。
ただ、モデルXの遅れから元々年間6万台の予定販売台数を5万〜5.5万台へ下方修正したことで、テスラの株式は決算発表後2日間で10%近く下落。更には1年前は26億ドルあった現金資金も11億ドルまで減少しています。ここまでくるとテスラ大丈夫か…? と心配になってしまいます。
とはいえ、10%近く下げながらも同社の株式を含めた時価総額は310億ドル(約3.8兆円)にものぼり、これは、フェラーリ・アルファロメオ・ジープなどを傘下に持つ自動車メーカー「フィアット・クライスラー・オートモービルズ」を超えるほどなんです。
それに加え、Gigafactoryの建設によって自動車だけでなくバッテリー分野も事業の中核を担う可能性も期待されています。短期的な解決策として、株式の追加発行などで現金資金の調達を行う必要があるのではないかといわれていますが、テスラは他の自動車メーカーのような現在ではなく、数十年後の成功を見据えて動いている会社です。ここをなんとか踏ん張って、自動車とバッテリーの未来を作ってくれることを期待したいです。
source: Reuters, Tesla Motors
(小山和之)