猛暑と蒸し暑さが続く今年の夏。2020年の東京五輪も、同じ時期に開かれる予定です。何でわざわざこんな時期に? 運営側では「遮熱性舗装」など最新技術を駆使した暑さ対策に余念がありません。
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特殊な塗料で熱下げる
マラソンは、五輪の花形競技ですが、最も暑さの影響を受けやすいスポーツの一つです。2014年9月にケニアのデニス・キメット選手が出した世界新記録は2時間2分57秒。少なくとも2時間は炎天下で走り続ける必要があります。
そんな中、対策として上がっているのが「遮熱性舗装」です。「遮熱性舗装」は、普通のアスファルトの路面に特殊な塗料を塗ったもので、路面が熱を吸収して熱くなるのを防ぎます。
5月に発足した国土交通省、環境省、総務省消防庁、東京都、大会組織委員会などでつくる暑さ対策の連絡会議で、提案されました。
サッカーは午後5時以降
試合時間を遅らせる案も出ています。サッカーは全試合を午後5時以降に開催する予定です。それでも、リオデジャネイロ五輪で復活するゴルフなどは試合時間が長く、1日6~7時間は炎天下でプレーすることになりそうです。日本ゴルフ協会は「プレー中の日傘の使用を呼びかける」と暑さ対策を挙げています。
大会6回分で「7780億円」
東京五輪の開会日にちなんで生まれた「体育の日」は10月ですが、2020年大会についてIOCは、7月15日~8月31日の期間内におさまるよう求めています。
なぜ秋にできないか。その理由は巨額なテレビ放映権料です。アメリカのNBCユニバーサルは、22年冬季から32年夏季までの6回の五輪の米国向け放送権を76億5千万ドル(約7780億円)で獲得しています。
秋は欧州ならサッカー、米国は大リーグが佳境を迎え、アメリカンフットボールのNFLとも競合します。他のスポーツとテレビの放映枠を争うようなことがあれば、テレビ放映権料に影響がでかねません。
IOCは収入の9割を各国・オリンピック委員会や各競技の国際連盟などに還元しています。IOCの方針に対して、巨額の補助金を受け取る側からは反対しづらいのが現実なのです。
2020年五輪には中東カタールの首都ドーハが10月開催で立候補しましたが、1次選考で落選しました。
「テレビ放送時間を確保しづらい」
IOCはその理由を正直に説明しています。