Scrum Allianceの"Scrum User Group"商標登録出願に対するコミュニティの反応

2009年にScrum Allianceは,“スクラムユーザグループ(Scrum User Group)”という用語を保護商標とするための商標登録を出願した。Scrum Allianceの創設者のひとりであるKen Schwaber氏は,“Greed and Control Can Ruin an Industry and Movement”と題したブログ記事の中に,自身が今回のこの動きに強く反対していること,コミュニティからの意見を求めていること,その結果によっては法的な異議申し立ても辞さないこと,などを書いている。

その記事の中で氏は,次のように述べている。

Jeff Sutherlandと私は,1990年代初めにスクラムを開発しました。私たちは,それをソフトウェア開発コミュニティに勧んで提供し,著作権を行使しませんでした。スクラムとそれに関連するすべての議論を進めていく上で,商標上の問題がないことも確認しました。議論や論文,書籍,カンファレンスなどが活発にできるように,どのような形であってもスクラム(“Scrum”)という言葉が使えることを望んでいたのです。スクラムが広く認知されても,ウォーターフォールやPMIのような道をたどってほしくはありませんでした。

さらに氏は,自身とコミュニティが選択可能な対処方法を提案する。

  1. 法的手段に訴えて抗議することは可能ですが,25万ドル程度の費用が必要になることは間違いありません。勝訴はできると思いますが,宝くじでも当たらない限り無理です。
  2. このコメント欄に,この件について抗告の申し立てをするべきか,“Scrum”ないし“Scrum User Group”という言葉をパブリックドメインにするべきか,あるいはScrum Allianceなどの組織が所有すべきか,意見を書くことができます。
  3. 業界内で騒ぎを起こして,公的資産を私的所有しようとするScrum Allianceの活動が愚行であることを知らせる,という方法があります。彼らはおそらく,思いとどまるでしょう。
  4. 私たちの行動が不十分で,Scrum Allianceが私たちの表現や語彙をコントロールする権利を獲得したのならば,普段の生活の中でスクラムという言葉を使うのを諦めなくてはなりません。

InfoQは,Scrum AllianceのCEOであるManuel (Manny) Gonzalez氏にコンタクトを取り,Schwaber氏の記事に対する意見を聞いた。

2009年にScrum Allianceは,ユーザの保護とグローバルなコミュニティの価値構築を目的とする活動として,“Scrum User Group”という商標登録を提出しました。

それ以降,Scrum Allianceは世界中のユーザグループに対して100万ドル以上の投資を行って,ツールの提供やユーザグループの形成,成長,成功の支援を続けてきました。私たちはScrum User Groupが,コミュニティによって結成されたものであり,コミュニティでの議論を促進することによって世界のビジネスを変革へと導くものであると信じています。

私たちは現在,会員のサポートに全力で取り組んでいます。その結果として,世界中で400以上のユーザグループを持つコミュニティに成長したことを,とても嬉しく思っています。

アジャイルスクラムコミュニティの成長に伴って,私たちは,関係の拡大と使いやすさの向上,スクラム実践者のネットワークや学習,情報交換の場の提供を目的とした,新しいプラットフォームをローンチしています。

このニュース項目の公開時点で,Schwaber氏のブログ記事には85件のコメントが寄せられている。抗告を強く支持するもの(資金提供の申し出を含む)から,用語を商標登録するScrum Allianceの行動を強く支援するものまで,内容はさまざまだ。

この記事が読まれる頃には,事態はより明確になっているはずだ。

本記事下のコメント欄に,読者の意見を寄せてほしい。