サザンオールスターズの全国ツアー「おいしい葡萄の旅」の追加公演が8月17、18日の2日間、東京・日本武道館にて行われた。
このツアーは4月の愛媛・愛媛県武道館からスタートし、全国11会場23公演でのべ50万人を動員した大規模なもの。サザンが日本武道館でライブをするのは1993年以来約22年ぶりとあって、会場にはプラチナチケットを手にした多くのファンが詰めかけた。
ライブは1曲目「Tarako」で幕を開け、続く「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」「ロックンロール・スーパーマン~Rock'n Roll Superman~」で会場は早くもひとつに。桑田佳祐(Vo, G)は最初のMCで「22年ぶりのサザンオールスターズ武道館へようこそ! いよいよ集大成、千秋楽でございます!」と挨拶した。
ライブ前半で、バンドは最新アルバム「葡萄」の収録曲を9曲続けて演奏する。桑田は終戦70周年に思いを馳せるように「平和の鐘が鳴る」を歌い上げ、原由子(Key, Vo)がメインボーカルをとる「ワイングラスに消えた恋」では、原がダンサーとともに華麗なダンスを披露。歌謡ショーさながらの演出で、アルバムの世界観を伝えていく。
続くMCで桑田は「武道館は49年前、私が小5のときなんですけど、The Beatlesが来日してライブをした場所です」と同会場への思いを語る。これを受けて、松田弘(Dr, Vo)が「リンゴ・スターです」、関口和之(B, Vo)が「ポール・マッカートニーです」、原が「ジョン・レノンの恋人、小野妹子です(笑)」、野沢秀行(Per)が「ジョン・レノンです」とそれぞれに小ネタを交えながら自己紹介を行った。メンバー紹介を終えると桑田は「曲やっちゃおうか!」と話し、バンドはThe Beatles「Help!」をフルコーラスで演奏。桑田は「これが一番楽しかったりして(笑)」とご機嫌な様子を見せ、観客も予想外のカバーに大歓声で応えていた。
ライブ中盤では「ちょっと古い曲も聴いていただきたいと思います」と前置きし、バンドはアルバム「KAMAKURA」収録曲など80年代の楽曲を次々と披露。さらに「栞(しおり)のテーマ」や「真夏の果実」といったバラードをしっとりと響かせた。
その後のMCで桑田は、ファンがネットに書き込んだツアーの感想をスタッフから見せられた際「このコーナーはいらないと思う」という辛辣なコメントがあったことを紹介。「ここからの15分はそういうコーナーです」と苦笑しつつ、「おいしいね~傑作物語」「Soul Bomber(21世紀の精神爆破魔)」「01MESSENGER~電子狂の詩~」といったドープなナンバーでバンドの懐の深さを見せつけた。
ライブ後半は再びアルバム「葡萄」から、「道」「栄光の男」「アロエ」といったナンバーが届けられる。「東京VICTORY」の演奏時には、巨大なミラーボールが回る中、観客に配布された1万2000個のライトが光り、日本武道館は真っ白な光に包まれた。
そして迎えたクライマックスはアッパーなナンバーの連発。桑田は足を何度も高く蹴り上げながら「マチルダBABY」を歌い、「エロティカ・セブン(EROTICA SEVEN)」では前川清のモノマネを織り交ぜながらステージ上を激しく動き回る。「ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)」で「スタンド、アリーナ! もっと来んかー!」とフロアを煽ったあと、本編ラストは「マンピーのG★スポット」で締め。桑田は左右にブドウのオブジェを配置したハゲヅラの上部からティッシュを次々と抜き取り、武道館を狂乱ムードに染め上げた。
アンコールでメンバーはツアーTシャツに着替えて登場し、「みんなのうた」の歌詞の一部を「嗚呼 武道館 またやろうね」と替えて歌うなどしてファンを喜ばせた。そしてカバー曲を含む計37曲のラストを飾ったのは「蛍」の美しいメロディ。最後に桑田は舞台監督や音響スタッフ、電源チームなどこのツアーに関わるすべてのスタッフに対する感謝の気持ちを丁寧に伝え、ファンに向けて「ありがとう! サザンオールスターズ!」とシャウト。3時間55分におよぶライブを終えると、メンバーは充実した表情でステージをあとにした。
01. Tarako
02. ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
03. ロックンロール・スーパーマン~Rock'n Roll Superman~
04. 青春番外地
05. イヤな事だらけの世の中で
06. バラ色の人生
07. Missing Persons
08. 平和の鐘が鳴る
09. 彼氏になりたくて
10. はっぴいえんど
11. 天井棧敷の怪人
12. ワイングラスに消えた恋
メンバー紹介~Help!
13. よどみ萎え、枯れて舞え
14. 顔
15. Happy Birthday
16. 死体置場でロマンスを
17. Computer Children
18. 栞(しおり)のテーマ
19. あなただけを~Summer Heartbreak~
20. 真夏の果実
21. おいしいね~傑作物語
22. Soul Bomber(21世紀の精神爆破魔)
23. 01MESSENGER~電子狂の詩(うた)~
24. ブリブリボーダーライン
25. 道
26. 栄光の男
27. 東京VICTORY
28. アロエ
29. マチルダBABY
30. エロティカ・セブン(EROTICA SEVEN)
31. ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)
32. マンピーのG★スポット
<アンコール>
33. 匂艶THE NIGHT CLUB
34. ピースとハイライト
35. みんなのうた
36. 蛍