さすがにそれはマズいんじゃ…。
前から行き過ぎた諜報活動が指摘されてきた米国の国家安全保障局(NSA)。その活動内容については、元NSA職員のエドワード・スノーデンもたびたび情報をリークしてきました。
8月15日のニューヨークタイムズの報道で、AT&TがNSAのスパイ活動を積極的に支援してきたというのです。
AT&Tは米国最大の通信会社、日本でいえばNTTに近い企業です。情報ソースはニューヨークタイムズが民間団体とともに10年間調査してきたスノーデンからの機密情報でした。
それによると、NSAはAT&Tを含む大手通信会社3社と手を組み、数百万人の米国人の通信内容を監視してきたそうです。それだけではありません。ニューヨークに本部がある国連の通信もすべて傍受してきたというのです。
AT&Tの広報は「国家安全保障に関することですから、コメントいたしかねます」と取材を拒否していました。そりゃ、うっかりしたことは言えない立場でしょうね。これに対して国連は、AT&Tに「プライバシーの尊重と、件の記事で述べられていることについての釈明を求めます」と詰め寄っています。
国連の広報担当Vannina Maestracci氏は「米国当局は国連の通信への監視を、今までもしていないと言ってましたし、これからもしないと保証していました。そもそも各国の情報が集まる国連が不可侵だということは、国際法でも定められているではありませんか」と、かなりご立腹の様子。
確かに、国連特権免除条約の第四項には、「国際連合の記録及び一般に国際連合が所有し、又は保管する文書は、所在のいかんを問わず、不可侵とする」と、はっきり書いてありますね。
米国には、ウォーターゲート事件に端を発する外国情報監視法(FISA)があります。2001年に起きた911のテロ以降に改正された愛国者法のもと、令状なしの諜報も認められるようになりました。さらに2008年のブッシュ政権下で合法化された後は、監視の範囲が拡大し続けています。
いわば今回の騒動は、米国内の事情と国際法がバッティングした結果起きたこと。どちらも明文化された法律が根拠ですし、一体どうなるんでしょうね。
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source: Reuters
(高橋ミレイ)