大人になるまで培養することもできるんでしょうか?
オハイオ州立大学の研究チームが、人間の脳を研究所で培養することに成功しました。培養された脳は、脊髄をふくめて血管以外すべての器官がそろっています。
現在、直径約1cmの大きさに成長した脳は、5週齢の胎児が持つ遺伝子を99%発現しているそうです。16〜20週目で残りの1%が発現する可能性があるようですが、まだわかりません。
同大学で中枢神経系疾患を研究するRene Anand教授は、8月18日にフロリダで開催された「軍事保健システム研究シンポジウム」で今回の研究成果を発表しました。査読前に重大な研究成果を発表するのは異例なことです。
シンポジウムを主催する国防総省は外郭団体のMRMCとともに、爆風で脳や神経に損傷を受けた後の後遺症に苦しむ帰還兵の治療を研究するプロジェクトを進めています。Anand教授のチームの研究もそのプロジェクトの一環だそうです。
Anand教授は「これまで神経や脳の疾患は薬物投与で治療をしていましたが、今後脳の培養と移植が可能になれば、副作用の心配もない人道的な治療ができるようになります」とコメントしています。さらに、他の薬物や治療法の実験にも活用することで、医療が飛躍的に進歩すると期待されています。
生命倫理の課題はないかと質問を受けた時、Anand教授は「この脳が感覚的な刺激に反応することはないので、倫理上の問題はないでしょう」と答えたそうですが、それでも何だか少し怖いような気もしますね。
source: Ohio State University
(高橋ミレイ)