クラウドアプリケーションのためのアイデンティティ管理を提供しているOktaのところには、人びとのクラウド利用に関する大量のデータが集まっている。同社は今日(米国時間8/20)、初めての、Okta Business @ Work Reportと題する報告書をリリースした。いろいろおもしろい発見がある中でとくに目立つのは、MicrosoftのOffice 365が、今年のこれまでの、いちばん多く利用されたクラウドサービスであることだ。
Oktaと同様にZenDeskも、集めたデータから報告書を生成している。同社の四半期ごとの報告書は、同社が提供しているカスタマサービスから得られたデータを集約している。両社共に、それらのデータは自社のビジネスの軌跡でもあり、両社はそれを、顧客と共有しようとしているのだ。
OktaのCEOのTodd McKinnonによると、そのデータはまた、同社の今後のリソース配分方針を決めるための指針にもなる。“データから、人びとがどんなアプリケーションを、どれぐらいの頻度で利用しているかが分かるから、そういう人気の高いアプリケーションを統合するのがベストだ、ということになる”、と彼は語る。
同社の顧客企業はおよそ2500社、クラウドアプリケーションの数は4000を超えるから、そのデータの量は、報告書を作ってそれを共有する価値が十分にあるほどの量だ、とMcKinnonは言う。それが同社の顧客ベースのスナップ写真にすぎないことは彼も認めるが、Oktaの顧客たちがクラウドをどのように使っているかが分かるから、とてもおもしろいデータでもあるのだ。
Oktaがアプリケーションの使われ方を記録するようになったのは2012年だったが、当時はSalesforce.comがつねにトップだった。しかしその後、Office 365が徐々に伸びてきてついに首位に立ち、Boxが三位になった〔下図: O365がSFを2015/2月に抜いている〕。
Slackは、今やどなたもご存知だろう。人気急上昇中の企業向けメッセージングアプリだが、2015Q2の成長率は50%でダントツだった〔下図〕。もっと意外なのは、ITの事故情報管理ツールPagerDutyが、同じ四半期に25%強の成長を遂げていることだ。成長率3位は、オンラインのアンケートサービスSurveyMonkeyの23%だ。
Oktaの顧客企業が抱えるスタンドアロンのクラウドアプリケーションの数は、企業の大小に関わらず11から16ぐらいだ。McKinnon自身は、もっと少ないと想定していたので、意外だった、と言っている。
クラウドサービスにタブレットからアクセスするユーザがいちばん多い業種は、製薬、バイオテク、教育の3業種だった。一方、モバイルデバイスからの利用がとくに多い業種は、教育とリテイル(eコマース)だ。
Oktaはアイデンティティ管理の企業なので、今回の報告書にはセキュリティ関連の項目もある。それによると、多要素認証(multi-factor authentication, MFA)をもっとも多く実装し利用しているサービスは、Amazon Web ServicesとSalesforce.comとOffice 365だ。Office 365は、ユーザのメールデータなども保護しなければならないから、セキュリティの要件も厳しい。
報告書の対象となった2500の顧客企業と4000あまりのアプリケーションには、それぞれ独自の統合先が計数千もあり、またアクセスするエンドユーザは一日あたり185か国、数百万に達する。
このほか、報告書は、クラウドサービスの人気がとくに高い業界や、国なども分析している。McKinnonによると、報告書は今後有料にするかもしれないが、当面は無料だ。