経口補水液、ポカリと何が違うの? 飲みにくい味には理由があった… | ニコニコニュース

左がOS-1、右がポカリスエット。味の違いには理由がありました
withnews(ウィズニュース)

 熱中症になる人が相次いでいる猛暑の夏。そんななか注目を集めているのが「経口補水液」です。点滴のように器具や技術を用いることなく、手軽に口から水分や電解質を補給できるため、軽度から中等度の脱水状態に有効とされています。大塚製薬工場(徳島県鳴門市)の「OS-1」などが有名ですが、点滴をヒントに考案された飲料といえば、グループ会社である大塚製薬(東京都千代田区)の「ポカリスエット」があります。いったい何が違うのでしょうか?

【写真】OS-1のパッケージにある「病者用食品」の表示。どんなときに飲むべきかが書かれている

どちらも、点滴に由来
 経口補水液とは、ナトリウムなどの電解質と糖分などがバランスよく配合された飲み物で、軽度から中等度の脱水状態に有効とされています。最近では、薬局以外でも目にする機会が増え、テレビCMや新聞広告などで知名度も上がっています。

 経口補水液の起源は、コレラなどの感染症に対処するため発展途上国で成功した「経口補水療法」にあります。その名の通り、口から水分や電解質を補給する方法で、点滴と違って器具や技術が不要。1970年代に発展途上国で有効性と安全性が確認され、先進国に「逆輸入」された治療法です。

 一方、点滴液をヒントに誕生したのがポカリスエット。大塚製薬の研究員がメキシコに出張した際、おなかを下して現地で入院した経験をもとに生まれました。

二つの商品の違いを聞きました
 ポカリとOS-1。どちらも点滴に関係した商品ですが、違いはどこにあるのでしょうか? 同じグループの会社である大塚製薬と大塚製薬工場の担当者に話を聞きました。

 ――ポカリとOS-1の違いを教えてください

 「ポカリスエットは、清涼飲料として日常生活の中で発汗などにより失われる水分と電解質を速やかに補給する飲料として開発されました。なので、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質は、汗の成分に近い組成となっています。運動の後やお風呂上がり、乾燥した室内で水分と電解質が失われたときなどにご利用ください」

 ――OS-1は?

 「軽度から中等度の脱水状態の方の水や電解質を補給・維持するのに適した経口補水液です。消費者庁による『特別用途食品個別評価型病者用食品』の表示許可を受けています。感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐(おうと)・発熱を伴う脱水状態、高齢者の食事量不足による脱水状態、過度の発汗による脱水状態などに適しています」

 ――用途が違うということですか?

 「健常時にはポカリスエット、脱水状態時や脱水状態が懸念される時にはOS-1が良いと思います。例えば熱中症対策の場合、健康な状態で発汗したときにはポカリスエットをご利用いただき、過度の発汗による脱水状態が懸念されるときにはOS-1をご利用いただくなどの使い分けです」


味の違いには理由が
 ポカリスエットと飲み比べた場合、OS-1の方はちょっと飲みにくく感じました。味の違いについても聞いたところ、以下のような理由があるそうです。

 「水分や塩分の吸収について、糖質が重要な働きを持っています。ポカリスエットは日常の発汗時に速やかに補給でき、かつ、おいしく飲める味となるような分量で糖質を配合しています。一方、OS-1は経口補水液なので、他の飲料よりも電解質濃度が高く、糖質濃度が低く設定されています。それぞれの用途が異なるため、味が違います」

 経口補水液は、健康なときにはしょっぱく感じても、脱水状態時などのときは飲みやすく感じことがあるそうです。自分の体の状態を知る一つの目安になるかもしれません。