日本の科学研究、「軍事分野」を優先か=中国メディア | ニコニコニュース

サーチナ

 中国メディア・中国新聞網は20日、第2次安倍晋三内閣発足以降の日本における科学研究について、軍事分野が優先されているとの見方を紹介した。

 記事は、日本を拠点とする華字メディアの新華僑報網を引用した。防衛省が「軍民両用」の基礎研究プロジェクトを公開募集したことをについて、戦後は民用技術を主に復興と繁栄を築いてきた日本の科学研究の性質が今後完全に変わると主張。昨年末に安倍政権は国家安全保障戦略のなかで「産・学・官の力を結集させ、安全保障分野において有効利用」と強調し、学術界が初めて公に軍需工業生産陣営に「引き込まれた」と解説した。

 防衛省が募集したプロジェクトの「安全保障技術研究推進制度」について、大学、高専、研究所、民間企業のすべての研究者が対象で、内容は軍事装備品にとどまらず、将来の戦争に備えた最先端技術も含まれると紹介。超音速、電波、レーザー、赤外線反射などさまざまな技術が含まれ、「実戦に応用されれば、既存の戦争の概念は完全に覆される」とした。

 記事は、「第2次大戦中には日本政府が『科学総動員』体制を発動、研究者を武器の研究開発に従事させた」ことなどを紹介した上で、敗戦後の1950年には「日本学術会議が『今後戦争を目的とした科学研究は絶対に行わない』と、日本における科学技術と軍事の関係の大転換を紹介。

 現在の動きについては「軍用技術のレベルアップが一部の研究者に名誉と実利の双方をもたらす」、「軍需企業を大儲けさせる」可能性があるとした上で、軍用技術への注力は民用産業の弱体化を招き、「日本国民を真に豊かにさせること、日本を強くさせることにはならない」と主張した。(編集担当:今関忠馬)

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◆解説◆


 中国では、自国の軍事面の進展を「歓喜する」記事が極めて多い反面で、日本の動きはことさらに警戒し、批判する論調が目立つ。ある程度は理解もできるが、「論旨があまりにもダブルスタンダード」、「読者も疑問を感じないのだろうか」と驚くことがある。

 その原因として、「世界は中国を中心/頂点とする」とする「歴史的な中華の夢」を最終的に砕いたのが、日本だったことが考えられる。

 日本が中華秩序に組み込まれたことはないが、中国としては「野蛮人は王道を理解できない」と解釈していればよかった。しかし日清戦争の敗北で中国は朝鮮の完全独立を認めざるをえなくなった。中華世界の「終わりの始まり」だった。しかも中国は国として生き残るため日本から「学ばねばならない」というジレンマに直面した。

 「強引なロジック」に出やすいのは、日本によって中華社会が「大きなトラウマ」を負うことになったからとの理解が可能だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)