長渕が倒れるか、私が倒れるかだッ!
8月22日に行なわれた『長渕剛 10万人オールナイト・ライヴ2015in富士山麓』。中学の時に映画『オルゴール』を見て以来の長渕ファン、主婦ライター・Kが5歳♂と2歳♀の子供を旦那に託し、ライブ初参戦にしてオールナイトなんつー過酷な挑戦に出陣!
22日16時、山梨県の甲府駅に到着。向かうはライブ会場となる静岡県富士宮市「ふもとっぱら」。
そのバスの行列に並ぶ最中、“長渕が原点”というほどの長渕好きな芸人・マキタスポーツと遭遇。「マキタさん!」と声をかけると「すでにベロベロですよ」と赤ら顔。VIP対応ではなくフツーにバス参加する姿に好感度大であった。
「ふもとっぱら」に到着したのは17時半。ライブ開始が21時だから3時間以上もどう時間を潰すか危惧するも…いざ現地入りするとグルメはもちろんオモロすぎる要素が満載!
フードエリアはB-1グランプリ会場並みの店が充実、腹を満たせたが、中でもベストバウトは地元「富士高砂酒造」のヨーグルト酒。日本酒をヨーグルトで割った飲み物でこれが激ウマ。ガブガブ飲んだった!
さらにアマチュアシンガーがストリートライブよろしくアコギ一本で『とんぼ』や『乾杯』をシャウト。長渕ヘアーに革ジャン、ジーパン&ギターを持った4、5歳の少年が「こんな腐った時代に!」と絶叫する光景も。うーむ、ウチの5歳の息子も長渕チルドレンにするか…?!
この他、全国から集まったらしい私設ファンクラブ「桜剛会(おうごうかい)」や「剛友会(ごうゆうかい)」「剛魂絆会(ごうこん きずなかい)」などの皆さんが決起集会し、ライブ前から大盛況。イイもん見せてもらいました!
■長渕がヘリで登場、JAPANで吠えるッ!
あっという間にライブ開始直前となり指定されたブロックへ。 前方には横幅130m、高さ約40mのステージとオーロラビジョンがドーン!
その構成はまるで左右対称に裾野を広げる富士山、いや、戦国時代のカブトのよう…とにかく、デケッ?!
そして20時40分頃から花火がドドーンと夜空に火花を咲かせると、地元の祭り会の皆さんが太鼓や神輿(みこし)を披露。
すると、20時50分頃から上空に一台のヘリが超低空飛行でキターー! 会場上空を4~5周し、もしやラペリング(ヘリからロープで地上まで降下する様)して剛、登場か!?…と思いきや、ステージ後方へ着地。長渕とドレスアップしたバンドメンバーが降り立った。
そこから長渕は、ひと言も喋らないままマイク前で仁王立ち。客席を指さした後、腹の底から「ウォォホホッ」と叫んで『JAPAN』がスタート。これで一気に鳥肌だっての! うぉぉぉーっ、富士山オールナイトライブの始まりだぁぁ!
4曲目『ひまわり』で前方のオーロラビジョンに満開の向日葵が映し出された。
長渕は「手加減してやろうと思ったけどよぉ! そんなわけにはいかねーよなあ!」と絶叫。会場は、長渕がビリーズブートキャンプばりの隊長で、観客が隊員かのように両手を拳を振り上げ「ウォ?! ウぉ?!」…こりゃもう、最後まで保たないかもわかんねえ…って状態に早くも突入。
『GOOD-BYE青春』を歌った後のMCに感動したという30代女性は、
「剛さんが『5日前から現地入りして2日前から雨続きだった。でも今日晴れたんだよ!」と興奮気味に話してましたけど、その後の『裸足のまんまで』のラストでは『俺は俺を信じてやる』と歌い上げた後、『俺はキミを信じて、キミは俺を信じて、ここまでやって来れたんだよねぇ!』と叫んだんですよね。この時点で涙ボロボロでした。スリーフィンガーの優しいイントロで始まる『夏祭り』にもジーン…最高でした」■第一幕ラストの『勇次』で長渕が男泣き!
今回のライブは四幕に分けられ、第一幕目は21時からおよそ23時すぎまで演奏。その最初のラストまで登り詰める盛り上がりがすでにハンパなかった。隣に座っていた40代男性も超興奮…。
「去年のアリーナツアーでも披露してたけど『泣いてチンピラ』のラストで、剛のハーモニカとキーボードのローレン・ゴールドとのセッションが超最高! ローレンは剛が吹くハーモニカの音色を、手元を見ずにキーボードで再現するスゴ技を披露するんですよ。それを剛が『ニッポンとアメリカの戦いじゃ?』と煽(あお)ってジャカジャカとハーモニカを吹き荒れるんですが、ローレンは半べそ顔で…。
どこまでやらされるんだって動揺する顔がオーロラビジョンからも見て取れたけど、この緊張感が最高なんですよ!」
そして今回、一幕目のラストで『勇次』を歌いきった後、感極まった長渕は…。
「俺たちは何十年もかけて信頼を作り上げてきた」「人に裏切られて利用されて…それでも俺ら決して諦めず、勇次が教えてくれた“信頼”を大事に生きてきたよなあ。おまえも俺も生きてて良かったよぉ!」と号泣。
会場は男も女も「ツヨシ?!」「ツヨシ?!」と泣き叫び、つられて記者も大号泣…やばい、前半のブートキャンプで腰がギシギシなってきた…!
正直、二幕目は疲労&眠気が頂点に達して意識も朦朧(もうろう)としていた。あろうことか、一曲目で歌った『とんぼ』がアレンジされすぎていてイントロからしばらく気づかず! 近くで見ていた40代男性によると、
「今回のアレンジはめちゃくちゃカッコ良かった! 『とんぼ』は結構毎回、長渕は観客に歌わせるパターンが多いんだけど、今回は歌いきってくれたし。やはり『とんぼ』の大合唱での一体感は長渕ライブの醍醐味(だいごみ)ですよ!」
と、やはり大興奮。続く序盤では沖縄から来た若手シンガー、多田麻衣子ちゃん、ラッパーの般若&輸入道がゲスト登場。麻衣子ちゃんの歌『てぃんさぐぬ花』は、元ちとせのような裏声を駆使した美しい声で、腰痛に悶える身には心地よかったが…。
そして、長渕と彼らで歌詞もアレンジされた『家族』を熱唱。これには賛否両論、解せない顔をするひとりは30代の男性ファン。
「般若と輸入道とかいう若者が安保法案で赤紙がどうの、安倍政権を変態とディスったりと、ただ罵詈雑言のラップで何も心に響かない。長渕のライブ中に政治なんて意識したかねーのに…」
それはともかく、二幕目の流れ的には一幕の時のように1曲に15分近くかけるような長丁場でもなく全体的にテンポよく進んだ印象だった。特に上京者にとって『東京青春朝焼物語』にはジーンときていたファンも多数。40代の男性は、
「大学入学のために上京する新幹線で聴いたんですよ。ベタだけど。やっぱり何歳になってもこの曲聴くとあの時の気持ちを思い出す。今回のライブは特にキーボードのローレンが奏でる音が最高でした」
二幕目のラスト予定だった『桜島』では、花火がドーンと打ち上がり、オーロラビジョン全体に赤い炎が映し出され、辺り一面が真っ赤に染まる。この時の様子は20代の男性ファンのこんな語りが相応(ふさわ)しい。
「オーロラビジョンで前方が赤く染まる中、ライブ会場のみんなが一斉に日の丸の旗を振ったんですよ。みんな『うぉーうぉー』叫びまくりで最高にエモい光景でした。腹の底から滾(たぎ)るナニかを感じた。この後、メニューにはないけどって『巡恋歌』も弾き語ってくれて、ようやく俺も正気を取り戻した感じだったね」
さあ、そしてフィナーレの朝焼けは…明日配信予定の後編も是非お楽しみにしてほしいっス!
(取材・文・撮影/河合桃子)