中国メディアが天皇陛下に「侵略戦争の謝罪要求」 | ニコニコニュース

 中国共産党中央宣伝部の管理下にある「光明日報」が26日、「だれが日本の侵略戦争の罪の謝罪をすべきか」と題する記事を掲載した。同記事は、昭和天皇の戦争責任を強く主張した。今までの中国からの見解として、極めて珍しい論調だ。

 記事は冒頭で「恨みには相手がいる。借りには借りた主がいる」と主張。1930年代から40年代にかけて日本軍国主義が侵略戦争を発動したのは、軍国主義を支えた天皇と政府、軍、財閥が力を合わせた結果と主張。

 さらに、昭和天皇は日本が対中侵略戦争と太平洋戦争を相次いで画策・指揮した侵略戦争の元凶だったと主張。

 さらに、東条英機、近衛秀麻呂の名以外にも三井、三菱、住友、安田と財閥の名を挙げ、当時の日本の政治、軍事、経済集団の罪行は、中国に対してだけでなく、アジアと世界の人民、日本人民に対する歴史上の罪人と主張した。

 戦後の日本については、在野の党派と民間人が絶えず、戦争の罪を反省しているにもかかわらず、天皇、政府、軍(自衛隊?)、財閥は公開の謝罪を阻んできたと主張。

 東条英機などの戦争犯罪者は極刑に処せられ、歴史に永久の恥辱を刻んだが、「その魂は散じることはなかった」と主張。

 衆議院が安保法案を“強行採決”したことを人々は「失望した」と表現し、「安倍政権は逆流の動きをして、人々の心に背いている」、「日本政治の主要勢力は、70年前の戦争に対する立場と態度を根本的に変えていない」と主張した。

 昭和天皇についてはさらに、「死去するまで一貫して、日本の侵略の被害国と被害国の人民に謝罪しなかった」と主張。一方で、村山元首相は談話によって侵略戦争に対する深刻な反省と謝罪し、日中戦争に加わった「多く」の旧軍人や子孫が「勇敢にも当時の罪行を暴露し、殺害した中国人民に謝罪している」と指摘。

 記事はさらに「日本の自衛隊は必ずや、当時の侵略軍と徹底的に切り離されることを尊重せねばならない」、「日本の財閥集団は、平和発展に積極的な役割を果たし、民族破壊の推進者には2度となってはいけない」などと主張した。

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◆解説◆


 中国はこれまで、昭和天皇を含む天皇や天皇制に対する批判を慎重に避けてきた。今上天皇のお言葉について中国メディアは極めて好意的に報じてきた。昭和天皇の戦争責任に言及する記事は、極めて異例だ。

 中国が天皇陛下の戦争責任への批判を避けてきた最大の理由は、日本人の対中感情の決定的な悪化を懸念したためと考えられる。中国で「権威ある」とされているメディアが、上記のような論説を発表するのは、これまで考えにくいことだった。

 中国では、自国の現政権に対立する上層部勢力が、対日関係で問題を拡大することで、政権に「ゆさぶり」をかけることが、これまでにもあった。上記記事が突然に出てきた背後には、中国内部の問題が関係している可能性も否定できない。