これは人間のいない世界。
ホモ・サピエンスさえ出現しなけば、ご覧のように、今ごろこの地上では大型哺乳類がほぼ全大陸を我が物顔で闊歩していました。
それが今や大型種の多様性が維持されているのはサブサハラだけ。「人間の活動が大型哺乳類を一掃していない地域は、本当に数えるぐらいになってしまった」と、図をまとめたオーフス大学の動物学者Soren Faurbyさんは声明で語っています。そのサブサハラですら絶滅危機に瀕する種は多く、生息域はだいぶ狭まってます。ライオンを娯楽で狩る頭のイカれた歯医者もいますしね…。
残りの地域ではほぼ壊滅状態で、絶滅種の有名どころではバイソン、マイナーどころでは人間よりデカいビーバーなど。欧州のヒグマなど辛うじて絶滅を逃れた種も、人間がいない山に追いやられています。
以下は、人間のいる今の世界。
いやあ…ヒマラヤの麓のネパールやブータンの山岳地帯の辺りも少し黄色くなってますが、それぐらいですね…。
研究班では人間抜きの世界における熊、象、鹿、ヘラジカ、サイ、虎、狼など大型哺乳類の生息域を(なんかノアの方舟みたいだ)、「人間が農地も都市も開発せず、地球環境に全く影響を与えなかったらどうか」という前提で種ごとに計算しました。
仮に人間がいなければ、北米と南米(どっちも大型哺乳類の種はとても少ない)には今のサブサハラより沢山の種が生息する地域も残っていたのだとか。ヨーロッパではサイ、象、ユーラシアンエルク、熊がこの世の春を謳歌していたそうです。研究成果は「Diversity and Distributions」で掲載中。
研究班は前にも、巨型動物類の氷河期後の大量絶滅は人間の勢力拡大と直接関係があると唱えており、それを裏付けたかたちです。種の保存の参考になればと語ってますよ。
象が悠然と行き交うヨーロッパにしばし思いを馳せてみましょうか。
source: ScienceDaily, Diversity and Distributions
Kiona Smith-Strickland - Gizmodo US[原文]
(satomi)