よく海外の医療系ドラマでオペ中に音楽かけたりしてますよね。
音楽のジャンルによっては、オイオイその曲で気が散らないの?と心配に思ったりしてしまいますが、新しい研究によると、実は外科医が彼らの好きな音楽をオペ中に聴く事によってテクニックが向上し、効率も上がるということが分かったんです。
研究者たちは、テキサス大学医学部ガルベストン校(UTMB)の形成外科の研修医15名に豚足の縫合をお願いしました。
一回目の検証では、半分は無音の部屋で、あとの半分の研修医たちは、それぞれが好きな曲をかけながら縫合してもらいました。そして二回目の検証では、無音だったグループは好きな音楽を聴き、音楽があった方は無音で同じ作業をしてもらいました。
その結果、好きな音楽を聴いている外科医は無音で縫合している時より平均8%早く縫合を完了することができました。また、経験値の高い外科医ほど音楽の影響が高かったそうです。後期臨床研修医だけの結果をみてみたところ、音楽を聴いていたほうが10%も早く作業を終えることができたそうです。
テキサス大学医学部ガルベストン校のアンドリュー・チャン助教授と研究の共同実施者で、チーフレジデントであるシェルビー・リースさんは、今回の研究結果をアメリカの形成外科系美容外科の医学雑誌「Aesthetic Surgery Journal」で発表しました。
リースさんいわく全身麻酔の状態が長ければ長いほど患者さんの有害事象のリスクが高まってしまうんだとか。そのため、外科医がより早く手術を完了できれば患者さんたちが全身麻酔状態で過ごす時間を短縮できるので、速度はとても重要です。特に縫合の工程は比較的多くの時間を要するらしいので、その部分がスピードアップするというのはかなりのメリットがありますよね。また、外科的手術時間の短縮は手術費を削減することもできるそうです。
ただぁ…速けりゃいいわけじゃなくて質も大切ですよね。その部分も、ちゃんと検証しました。UTMBの教員陣に、ブラインドテストで縫合の出来をチェックをしてもらったところ、音楽アリの検証で縫合したもののほうが出来が良いとの評価だったので、安心ですね。
実際のところオペ室で音楽を聴くことは今日では一般的になっています。みんな、音楽が手術に臨む外科医をリラックスさせてストレスを軽減する効果があると考えて実施していましたが、今回の研究で証明されたような技術を向上する効果があることまでは気づいていなかったようです。
今回の研究結果は、あくまでも好きな音楽を聴いた時の場合で、好きでも嫌いでもない音楽やその日の気分に合わない音楽を聴いた場合には、違う結果が出る可能性もあるようです。
また、2012年の研究では、手術中にクラシック音楽がかかっていると手術を受けている患者さんの緊張が和らいだり手術中の呼吸速が遅くなり、術後の回復も早くなるという良い影響をあたえることが分かりました。ただ、この研究は部分麻酔で手術中に意識のある患者さんの場合だったので、全身麻酔の場合にもクラッシック音楽が患者さんに影響を与えるか?は不明なようです。
手術中の音楽、お医者さんと患者さんの好みが一致すると、一番良い結果が得られそうですね。そのうち手術する前の患者さんに好みの楽曲を確認するなんて手順が加えられる日がくるかも!?
source: UTMB, Aesthetic Surgery Journal
Kiona Smith-Strickland - Gizmodo US[原文]
(junjun)