中国メディア・新華網は23日、「南京大虐殺は虚構とでも言うのか?」とする評論記事を掲載した。
記事は、1937年12月13日に日本軍の南京を占領後、「中国の平民や捕虜に対する長期に及ぶ凄惨な大虐殺が行われ、30万人あまりが殺された」と説明、日本軍の残虐ぶりを強調した。
その一方で、日本の右翼勢力がこの「歴史的事実」の抹殺を試みているとし、「ある者は事実そのものを否定、ある者は犠牲者数で論陣を張り、ある者は暴行と軍は無関係と主張」と紹介。「事実は事実。真実の歴史は絶対にウソによって変えることはできない」と論じた。
南京大虐殺に対する見方は国際的にも共通と主張。当時の南京安全区国際委員会委員長を務めたドイツ人のジョン・ラーベ氏が「ラーベ日記」中に約500件を記録し、英紙マンチェスター・ガーディアン(現在のガーディアン)の記者が著書中に「現代文明史上もっとも暗黒な1ページ」とし、米国人牧師のジョン・マギー氏が大虐殺の現場を撮影したと論じた。
さらに、一部の「良知ある日本の戦犯が南京大虐殺について認めている」とも主張。中島今朝吾元陸軍中将が日記に「基本的に捕虜を取らず、すべて処理する方針を取ることで決定」と記したことや、南京攻略戦に参加した元兵士の東史郎による供述を紹介。南京大虐殺のおもな指揮者(指導者)だった広田弘毅も「日本軍が南京などで血なまぐさい手段を使用し、少なくとも30万の中国人平民を殺戮した」と認めたと伝えた。(編集担当:今関忠馬)
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◆解説◆
広田弘毅は「南京事件」発生時の外相。南京で日本軍が大量の現地人を殺戮との報を受けた時には、激怒して杉山元陸相に抗議した話も伝わっている。ただし、陸軍に対してそれ以上の強硬な措置は取れず、陸軍に改善を申し入れるにとどまった。
広田は翌1938年に現地を視察。上記記事にある「30万人殺戮を認めた」については、英紙記者が本社に送ろうとしていた原稿を差し押さえたとして、その内容を打電したもので、事実と認めたわけではない。
終戦後はA級戦犯として極東国際軍事裁判の被告となり、死刑を宣告、処刑された。文民として唯一の死刑執行だった。大きな理由として「南京事件をとめなかった」ことが挙げられた。広田の死刑に対しては、連合国側からも意外視する声が出た。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C) 760849256 /123RF.COM)