ベース用プリアンプPerfect Stormは旧ソヴィエト空軍機の真空管を搭載してKickstarterに登場 | TechCrunch Japan

このKickstarterプロジェクト には、記事を書きたくない理由がたくさんある。まず、これはベース用のプリアンプだ。ベース奏者とアンプのあいだに置かれる小さな箱だ。ごく一部のミュージシャンしか関心を持たない。初期割引価格で1495ドルと高い。しかも、どう見ても、まともな増幅装置には見えない。

でもこの“Perfect Storm” は実は重要なオーディオ機器であり、今日(こんにち)見るものの中でも、もっともクールなハードウェアのひとつだ。特注音楽機器メーカーBlackie Paganoの製品で、このちっちゃなアンプには真空管6C45piが2本載っている。それは、冷戦時代にロシアが、ジェット戦闘機に搭載するために作った真空管だ。この真空管は感度が非常に良く、しかも高電圧にも無難に対応する。Paganoの説明から引用しよう:

外見は小さくて可愛らしいが、この狂気のようなデバイスは、温度華氏-45〜160度の環境で最大15Gまでの連続的な振動に耐える。核放射能にさらされても正常動作する。オーディオ信号への感度はきわめて高い(“トランスコンダクタンスが高い”と言う)。またサイズが小さいにもかかわらず、大型の電力増幅管(6L6, EL34, 6550など)で使用するような、とてつもない大電流でも動作する。

これらの驚異的な仕様と音波特性により、この6C45pi管はオーディオ界隈に大きな関心を喚起した。安くて極度に長寿命、そして入手しやすいため、さまざまな高級オーディオ製品に使われており、今や評価のきわめて高いFirefly DAC(デジアナ変換器)など有名製品にも使われている。

〔増幅率がきわめて大きく、また出力波形の入力波形に対する忠実度が非常に高い(いわゆるハイファイ)。〕

Paganoは17000ドルを募っているが、目下8000ドルぐらいだ。初期支援者には1495ドルで提供され、記念Tシャツ、それにハイエンドモデルもある。どれもこの、感動的な真空管が使われている。

これまで、真空管プリアンプは、最良のものでもこんなに高くはなかった。Ponoなどのメーカーは、ミュージシャンのためにミュージシャンが作る、という意味で独特だった。真空管にもプリアンプにも興味のない方でも、クラウドファンディングの威力を知る良い機会ではあるだろう。ここなら、奇妙な製品でも、こうやって世に出すことができるのだ。それでは、ちょっと失礼して、ぼくの真空管アンプを久々に鳴らしてみよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa