日韓両国が停滞していた防衛交流の再開・拡充に向けた調整を加速させている。日本政府関係者によると、10月の自衛隊観艦式に韓国軍が参加する方向となった。海上自衛隊と韓国海軍による海難事故での捜索救難活動の共同訓練も2年ぶりに開催される見通しだ。防衛当局間の協力を進めることで、日韓関係そのものの改善にも寄与する狙いがある。
観艦式は相模湾で10月18日に開催され、海自の護衛艦などが航行、安倍晋三首相が部隊に訓示を行う。韓国軍の参加が実現すれば初となる。
この他、日韓周辺の公海上で「捜索・救難共同訓練」を10月にも実施する方針。前回は2013年12月に九州の西方海域で実施し、海自護衛艦、韓国軍艦艇などが参加した。この訓練は1999年度から始まり、これまで8回実施している。
日韓防衛交流は12年の李明博大統領(当時)の竹島訪問で停滞したが、今年5月にシンガポールで4年ぶりに日韓防衛相会談が開かれ、交流再開の方針で一致。中谷元防衛相が会談の中で共同訓練や観艦式への韓国軍の参加を要請した。
交流再開には米国の強い後押しもある。米国は北朝鮮が核・ミサイル開発を続ける中で、日米韓3カ国の連携を重視。日韓両国に関係改善を求めてきた。
ただ、日韓間では12年に機密情報共有の枠組みとなる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が締結直前に韓国世論の反対で見送られた経緯がある。領土や歴史認識をめぐる対立も残っており、防衛交流が順調に拡大していくかは未知数だ。