DCコミックスで誕生し、世界中で大人気のアメコミヒーロー「バットマン」。最近では映画「ダークナイト」やゲーム「バットマン:アーカム」シリーズでファンになったという人も多いはず。
そんなバットマン作品群に今度はドラマが加わりました。その名も「GOTHAM/ゴッサム」。
今回はバットマンのファンはもちろん、そうでない人も楽しめる本作の魅力をご紹介。まずは、どんなお話なのかを見て行きましょう。
犯罪渦巻く街ゴッサムに配属された新人刑事のジェームズ(ジム)・ゴードンは、ベテラン刑事のハービー・ブロックと組み、富豪のウェイン夫婦が殺された事件を担当する。その捜査の過程で彼は夫婦の遺児であるブルース・ウェインに犯人の逮捕を誓う一方、マフィアの抗争が激化し、凶悪な事件に立ち向かっていくことになる――。
本作はジム・コードンが主人公のクライム・サスペンスで、ゴッサムにうごめく魅力的なキャラクターが多数登場するのが魅力です。中でも特に重要な3人をピックアップしてみましょう。
演じるのは、実はアニメ版バットマンの声優も担当したことのあるベン・マッケンジー
主人公の新人刑事ジム・ゴードンは元軍人の真面目な男。警察すら腐ったゴッサム・シティの中で正義を貫こうと独り奮闘するものの、街の悪に触れ、妥協を強いられていきます。果たして彼は闇に飲まれてしまうのか!?
時には優しく
元軍人という点が強調されていることもあり、ゴードンは悪党相手に正面を切って戦いに挑む強さを見せますが、少年ブルース・ウェインには親身に接し、擬似親子のような関係になっていくなど、優しさもある人物として描かれています。
時には厳しく
まるで、バットマン登場前のゴッサムに突如現れた正義のヒーローといったキャラクターなので、どのように悪と戦っていくのかが見どころです。
原作や映画、アニメでバットマンと協力体制を築くジェームズ(ジム)・ゴードンは年齢を重ねたベテラン刑事で、「バットマン」シリーズには欠かせない存在。ちなみに、現在の最新コミックの設定ではバットマン(ブルース・ウェイン)は死亡したことになっており、なんとゴードンがパワードアーマーを着て、バットマンとして犯罪と戦っています。
演じるのはペンギンというニックネームがすごく似合う鳥顔なロビン・ロード・テイラー
そんな主人公のゴードンと同じくらい重要なキャラクターが、オズワルド・コブルポット。ゴッサムの裏社会を牛耳るギャング、ファルコン・ファミリーの女幹部フィッシュ・ムーニーの傘持ちをしている下っ端で、「ペンギン」というニックネームで呼ばれています。
2人の関係にも注目
見るからに貧弱かつ気弱ですが、心の奥底では出世への野心を燃やし、時に残忍さも垣間見せる男です。とある事件でゴードンに命を救われ、仲間になったわけではないものの、事あるごとに互いを利用し、それぞれの目的を果たす関係になっていきます。
フィッシュに乱暴に扱われたり、足が不自由になったりするものの、出世は諦めない
下っ端の彼が狡猾な手段を駆使し、時には失敗してひどい目に遭いながらも、ゴッサムの裏社会でのし上がっていく姿を描く成り上がりの物語も本作の大きな魅力です。
「ペンギン」といえば悲劇的な生い立ちを持つ、異形の元サーカス団員という印象が強いですが、それ以外の作品だと小太りな悪党、ギャングのリーダーといった設定で、バットマンのヴィランとしては珍しく(比較的)正気な人物として描かれる事が多いです。それもあってか、バットマンの"説得"を受けて情報提供者となることもあります。
演じるのはデヴィッド・マズーズ
そして、本作の陰の主役はなんといっても、ブルース・ウェイン。莫大な資産を持つウェイン財団の御曹司で、強盗に殺された両親の莫大な資産を引き継いだ少年です。
執事のアルフレッドとスパーリングするくらいならいいんだけど......
心に深い傷を負い、未だに逮捕されない親殺しの犯人を自ら見つけ出そうとするばかりか、犯罪を憎み、いつか戦おうと危険な方法で心と身体を鍛えようとする、かなりストイックでちょっと心配なキャラとして描かれています。
だいぶ猫感がある少女はどんな女性に成長するのか?
ブルースは親が殺された事件を担当したゴードンや、その事件を目撃した「キャット」と名乗る泥棒の女の子とじょじょに仲良くなっていきます。そんな周囲の人々から影響を受けた彼は力で街を救う騎士となるのか? 頭脳で犯罪と戦う偉大な探偵となるのか? とにかく彼の行末からは目が離せない!
バットマンは多くの方がご存知の通り、スーパーパワーは持たないものの、厳しい修行の末に凄まじい肉体と精神力を得てゴッサムに巣食う悪と戦うヒーローであり、「世界最高の探偵」や「闇の騎士」と呼ばれる男。そして、ブルース・ウェインは他作品におけるバットマンの昼の顔です。
「GOTHAM/ゴッサム」にはこの他にも、映画でおなじみのヴィランを彷彿とさせる人物はもちろん、ゲーム「バットマン:アーカム」シリーズでおなじみのアーカム・アサイラムも物語の鍵となっていきます。作品のトーンは、映画『ダークナイト』3部作に近いです。
コミックで言えば、基本的なコンセプトはゴッサムで働く普通の刑事たちを主人公にした「Gotham Central」、そしてバットマンの誕生を描く『イヤーワン』や、殺人事件とギャングの抗争を描く「ロング・ハロウィーン」の影響も強く感じる内容となっています。
また、こういった異なる歴史や人物が語られる並行世界の物語はアメコミでは定番なので、コミック・ファンからすれば非常にアメコミ的と感じられる作品かもしれません。
「GOTHAM/ゴッサム」は、いわゆるパスティーシュ作品のバットマン版といった位置づけと言えるかもしれません。
しかし直接つながっている作品はなく、単体で正義と悪を誕生から描く作品なので、事前知識としては漠然としたバットマン像が頭の中にあれば十分でしょう。
また、ちょっと古めな携帯電話が出てくるなど、あえて時代をぼかした描写と暗く汚れた町並みが、70年代のアメリカ映画を思い起こさせる雰囲気もあります。
バディものとしても楽しいかも
ゴードンがたった1人で警察の腐敗に立ち向かおうとする姿や、相棒ブロックが荒っぽい刑事なのは実話を基にした70年代の汚職・腐敗した警察ものの影響を感じますし、ギャングの抗争の描写では70年代のマフィア映画へのオマージュが随所に見られます。そういったクラシックでハードな男の物語が好きな人は心惹かれるはずです。
個人的には、ブルース少年が思いつめて危ない訓練をするところにアメリカン・ニューシネマ風の闇を感じました。コスチュームを着て、鏡の前でひとりごとを言い始めたらどうしよう......。
ドラマは長いから手を出しづらい......と感じている方もいるかもしれませんが、「GOTHAM/ゴッサム」は映画に引けをとらない濃密かつ予測を超えた仕掛けのある物語がテンポよく展開するので、思わず一気見してしまうはず。そして、海外でもシーズン1が終わったばかりなので、まだまだ楽に追いつけます!
映画やコミックとはまた違った魅力がある作品なので、「バットマン」、「ダークナイト」のファンはこの作品を見逃すのはもったいない! そして、バットマンをよく知らないという方は本作から入門すれば、コミックや映画、ゲームにも触れてみたくなること間違いなし! 他のバットマン作品と見比べると、いろんな発見がありますし、違いと共通点をじっくり味わえるので、もちろんコアなファンにもおすすめです。
パッケージ
「GOTHAM/ゴッサム<ファースト・シーズン>」は現在、DVDレンタル/デジタルレンタル中。ブルーレイ&DVDは2015年9月9日発売予定!
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source: GOTHAM/ゴッサム[ワーナー海外ドラマ 公式サイト]、パスティーシュ[Wikipedia]
(傭兵ペンギン)