前回、8bitビデオゲーム風の映象でリメイクされた『千と千尋の神隠し』の動画を紹介したが、この「8bitシネマ」に今度は『もののけ姫』が登場した。
■原作の世界観をドット絵で忠実に再現
1997年公開のスタジオジブリの長編アニメーション『もののけ姫』をリスペクトした待望の「8bitシネマ」作品が登場した。レトロな横スクロールで進む8bitビデオゲーム風の映象で、実況プレイ動画のようにして展開する3分20秒の動画作品だ。
ストーリーもキャラクターも音楽も実に忠実に素朴な“ドット絵”の世界で再現されており、里山を舞台に少年・アシタカが村を襲うタタリ神を退治するところからはじまり、案の定、右腕に呪いをかけられてしまう。
呪いを絶つために旅立ってからは、シシ神の首を狙って旅をするジコ坊や、犬神(山犬)に育てられた少女“もののけ姫”のサン、また鉄器を生産する謎の村を統率する女リーダーのエボシとの出会いも描かれ、クライマックスへといたるストーリーが見応えたっぷりに描かれている。コロボックルで賑わう森を巨大なダイダラボッチがゆっくり通り過ぎるラストシーンも雰囲気たっぷりで、まさに凝りに凝ったファン動画と言えるだろう。
8bit版『もののけ姫』の公開に先駆けて投稿されたメイキング動画の中で、作者のデイビット・ダットン氏は「『もののけ姫』は『千と千尋の神隠し』と並んで大好きな宮崎アニメです」と語り、キャラクターデザインなどの制作工程の一端を解説し、ダットン氏の宮崎アニメ愛を伝えている。
■『ターミネーター2』も登場していた
懐かしい映画やアニメを、これまた郷愁すら覚えるファミコンやMSXゲーム画面のような映象でリバイバルしてくれる「8bitシネマ」だが、『もののけ姫』のほかにもSFアクション映画の『第9地区』や『ターミネーター2』、『エターナル・サンシャイン』などが最近の新作として登場している。8bitゲーム画面に懐かしさを感じる世代なら、やっぱり『ターミネーター2』も外せないだろう。ちなみに前出のメイキング動画の中では、この『ターミネーター2』の中で使われている音楽の作り方を「8bitシネマ」音楽担当のヘンリー・ダットン氏が解説している。
T-800型とT-1000型の最初の乱闘シーンからカーチェイスの場面、サイバーダイン社への潜入から爆破、そして製鉄所の最終決戦等々、動画を見ていると懐かしい“T-2”のシーンの数々が甦ってくるが、ターミネーターといえばこの夏大ヒット中の映画『ターミネーター:新起動/ジェニシス』だ。12年ぶりにアーノルド・シュワルツェネッガーが復帰したということで、シリーズをリアルタイムで観賞してきた層にとって嬉しさもひとしおだろう。映画館によってはかろうじて9月上旬まで上映しているところもあるので、まだ観ていない向きはチェックされたし。
不定期ではあるものの今後も新作が登場する「8bitシネマ」にどんなリスペクト作品が登場するのか楽しみである。もちろん、他の宮崎アニメにも期待が集まるが、この2作に匹敵する世界的ヒット作といえば『となりのトトロ』だろうか。ともあれこれからも「8bitシネマ」に目が離せそうもない。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・The Daily Dot
http://www.dailydot.com/geek/princess-mononoke-8-bit-cinefix/