写真で釣果を共有する「ツリバカメラ」——東京から福岡に移住した起業家の挑戦 | TechCrunch Japan

ウミーベ代表取締役CEOのカズワタベ氏

ウミーベ代表取締役CEOのカズワタベ氏

福岡の中心地・天神から電車で20分。海辺の町・福岡市西区今宿に今回紹介するスタートアップ・ウミーベが入居するシェアオフィスはある。同社は9月1日、iOS向けの釣果(釣りの成果)共有カメラアプリ「ツリバカメラ」をリリースした。App Storeより無料でダウンロードできる。

ツリバカメラは釣りをする人向けのアプリだ。釣った魚を撮影し、種類やサイズ、釣った場所や使用した餌の情報などを付けてアップロードし、自分の釣果アルバムを作ったり、その写真を共有したりできる。

現在居る地域の周囲のユーザーのタイムラインや、フォローしたユーザーのタイムラインを閲覧できる。投稿された写真には「いいね」をつけたり、コメントをしたりできる。

自分がアップロードした写真やタイムライン上の写真は、地図上にマッピングして閲覧することも可能。写真は釣れた時期や魚の種類、サイズ、仕掛けなどで絞り込んで表示できるので、自分の気になる魚がどの時期にどのあたりで連れているのかといったことを知ることができる。フィルター機能などがあるわけではないが、さながら「釣果を共有するInstagram」といったところだ。

ウミーベは2014年7月の設立。代表取締役CEOのカズワタベ氏は、ソーシャルパトロンプラットフォーム(寄付型のクラウドファンディングサービス)「Grow!」を提供するGrowを2011年に一ツ木崇之氏とともに設立した人物。その後同社を離れて福岡に移住。ウミーベを立ち上げるに至る。

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釣り情報のニュースサイトは月間65万PVに

ツリバカメラをリリースするきっかけになったのは、自身が移住の少し前に釣りを始めたことだった。「釣りは子どもの頃にやっていたが、デザイナーの友人が今の師匠」(ワタベ氏)。本格的に釣りをやり初めてつまずいたのは、「ネットに釣りに関する情報が少ない」ということ。あったとしても何年前の情報だかわからないものも少なくなかった。

「様々な情報がモダンなUIで探せるようになったのに、釣り関連の情報は出てこない。その割に市場は決して小さくない領域。最先端のテクノロジーでバリュエーションを付けて勝負する領域もあるが、釣りは『ここってまだやってなかったんだ』という領域だと思った」(ワタベ氏)。

また「福岡に移住することを決めたのは住環境を変えるためだが、それなら福岡でやることがアドバンテージになるサービスをしようと考えた」のだという。ワタベ氏いわくは全人口における釣り人人口の比率は西日本と東日本では西日本のほうが多いそうだ。

加えて都心と比較して子どもの頃からの遊びの一環として釣りを経験している人間が多いという肌感覚があったのだそう。「もともとはミュージシャンとしてバンドを組み、プレイをしながらマネジメントもしていた。(起業家としても)レジャーとかエンタメしか興味が持てないので、その領域でビジネスを頑張っていきたい」

ウミーベはツリバカメラに先立って、釣り情報のニュースサイト「釣報(ツリホウ)」もローンチしている。釣報はすでに月間65万ページビュー、20万ユニークユーザーまで成長。「釣り雑誌と比較してもユーザーにリーチしていると言える数字。広告での収益化をまず進めていく」(ワタベ氏)。また将来的にはツリバカメラでの有料オプションの提供、さらにはツリバカメラで集めた釣りのビッグデータを使ったビジネスなども検討しているという。

ベンチャーユナイテッドとドーガンから資金を調達

また今回ツリバカメラのリリースにあたって、ベンチャーユナイテッドおよび福岡の独立系ベンチャーキャピタルであるドーガンの運営するファンドより資金を調達していることを明らかにしている。金額は非公開だが数千万円前半程度だという。