【ワシントン時事】米議会で2日、イラン核合意を支持する民主党の上院議員が34人に達した。これにより、オバマ政権は議会の不承認を拒否権によって阻止でき、イラン制裁の解除を含む核合意を履行できる見通しとなった。オバマ大統領は外交レガシー(遺産)づくりで大きく前進した。
米議会は法律でイラン核合意を最大60日間審査し、承認の可否を判断できる。野党共和党が過半数を占める上下両院は今月の採決で合意を承認しないとみられており、大統領側は拒否権の行使を明言していた。
共和党が大統領の拒否権を覆すには3分の2以上の賛成が必要だが、上院(定数100)で民主党34議員(民主党系無所属含む)が核合意への支持を表明したことで、オバマ大統領は拒否権を維持できる。
ケリー国務長官は2日、ペンシルベニア州で演説し、来週にも始まるイラン核合意をめぐる議会の審議について「議会の出す結論は(米国の)最近の外交政策の決定において非常に重要なものとなる」と重ねて強調した。
米国内ではテロ活動などに関与するイランへの不信感が強く、議会が不承認決議案を成立させれば「核合意が台無しになる」(アーネスト大統領報道官)可能性があった。
イラン核問題の外交解決を目指す主要6カ国とイランの協議は7月、イランが核開発を大幅に縮小し、欧米が制裁解除することなどで最終的に合意した。