「はい。パソコンやりに来ているので」と答えていた。その塾では英語と数学の練習問題を、
コンピュータを使って解いていくような教育をやっていて、パソコンが20台あった。それを使いたくて通っているうちに、
「堀江君はパソコンの方が好きだから、今度新しい機種に変えるから、移植やってよ」と言われて、何万円もおカネをもらったりして。
今思うと、普通に外注したら100万円くらいかかったかもしれないのに、中学生にやらせたら何万円で喜んでやってくれるから、得したんじゃないかな。
――起業するときも、プログラミングができてよかったですか。
堀江:僕の中でプログラミングは普通のこと。何で起業しようと思ったかと言うと、やっぱりMacに出会ったことが大きい。
だから僕はプログラミングができて、おカネが稼げることは知っていたが、こんなにモテない職業でカネ稼いでもしょうがねぇなと、
思っていた部分もすごくある。でもMacは、ミュージシャンやクリエイター系といった、かっこよくてモテる職業の人たちが使っていた。
藤田:本当にモテたかったんだね。
堀江:そう。自分のスキルを使ってこんなにいい仕事ができると思ったら、やる気になった。この話をすると、
まじめ系の人たちに眉をひそめられる。みんな正論というか建前論しか言わないじゃないですか。まじめ君なわけですよ。
子どもたちは、ザッカーバーグ氏がIT業界のスターになりました、ああなりたい、と思ってやるわけです。
だから僕はIT業界の経営者もかっこよくあらねばならないって思う。小学生にとって憧れの職業になったことはすごくいいこと。
ソフトウェアプログラミングの人材はこれからどんどん増えていく。
――10年前のオタクのイメージから様変わりしました。
堀江:全然変わってきているでしょう。かっこ悪いから、オタクであることを隠していた人たちって潜在的に結構いて、コミックマーケットとかに行くと、そういう人たちであふれている。
藤田:10年前のエンジニアっていうと、大量採用されるSI会社のエンジニアというイメージが強かった。
でも、今ネット企業で活躍するエンジニアはクリエイティブな仕事へと変わってきていて、トップエンジニアはまさにスター。
クリエイティブな視点を持ったエンジニアは、ニーズが増えていて、現状はそもそも足りないというか、数がいない。
米アップルみたいにデザインとテクノロジーを融合させた会社は、ものすごい価値を生めるけれど、今はどちらかしかできない会社ばかり。
東洋経済もそうだと思うが、コンテンツはできても、テクノロジーはまだまだ。テクノロジーはできても、出しているモノがクリエイティビティに欠けていたり、
もう融合しないといけない。われわれもクリエイティブの強化とテクノロジーの融合を目指している。
――今、シリコンバレーでプログラマーとして働くと、年収2000万円で争奪戦になっています。日本もそうなるのでしょうか。
藤田:日本も争奪戦になっているが、金銭で動く人がいないだけ。ライブドアに検察が入ったとき、メインプログラマーを引き抜きに行った。
でも彼は動かなかったですね。先日、麻雀の企業対抗戦で再会しましたが、今もLINEで働いていました。
会社(ライブドア)がピンチのときに動くのは、卑怯だと思ったのかもしれない。日本はそういう人が多い。
堀江:それもあるかもしれないが、誰かがゴソッと動かないと、流動化しない。サイバーエージェントへ転職しても、
自分が満足できる仕事か、わからない。これは単純にイメージだが、スキルの高い人たちが集まった組織にいると
、この人たちと離れることで自分が成長できなくなるとか、刺激を受けられなくなる、と思うことがある。
ライブドアでは、ウェブプログラミングの初期のカリスマエンジニアを採用してきたから、彼が起点になって人材が入り、
いい感じに回転していって、優秀なエンジニアを採用できるようになった。
藤田:現在のサイバーエージェントのエンジニアは、いい人材が揃っているけど、本当に苦労して採用してきた経緯がある。
企業側はいいプログラマーを欲していて、待遇も至れりつくせり。優秀なエンジニアは自分たちで価値がわかっているし、
私も彼らの要望には耳を傾けます(笑)。世の中では英語教育といわれるが、英語をしゃべれる人なんていっぱいいる。
でも、プログラミングができる優秀な人材は、どの会社もほしい。実際、巨額の富を生み出すようなサービスを作るのは、技術力。需給的にやっぱり逼迫している。
――藤田さんもプログラミングができたらと思ったことはありますか。
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