中国メディアの環球網は3日、日本の村山富市元首相が同日実施された抗日戦争と第二次世界大戦勝利70周年を祝賀する軍事パレードに出席したと報じた。今回を含め、村山元首相は中国最大規模の軍事パレードに3回にわたり出席した。
会場入りする村山首相を、習近平夫人で中国でトップクラスの人気歌手でもある彭麗媛さんが出迎えた。
中華人民共和国が開催した軍事パレードとしてはまず、1949年10月1日に中華人民共和国の成立を宣言した「開国大典」にともなうパレードがある。
その後の国を挙げての軍事パレードとしては、1999年に建国50周年、2009年に建国60周年の式典として実施した。村山元首相が在任だったのは1994-96年で、首相を退任してから、中国最大規模の軍事パレード3回に、すべて出席したことになる。
村山元首相は首相在任中の1995年8月15日に植民地支配や侵略に対する謝罪を盛り込んだ「村山談話」を発表。中国では「良心的かつ理性的な日本の政治家」として高く評価されており、知名度も高い。
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◆解説◆
抗日戦勝利を祝うパレードが、現在の日本をも意識したものであることは確実だ。中国は尖閣諸島を「台湾の一部」と主張し、「第二次世界大戦終了時に日本が承諾した約束に従い、中国に返還すべきなのに、いまだに不法占拠を続けている」と主張している。軍事パレード冒頭に習近平国家主席が述べた「正義は必ず勝つ!」との言葉をそのまま適用すれば、「釣魚島(尖閣諸島の中国側呼称)も、必ず取り戻す」ということになる。
中国は日本の尖閣諸島領有を「戦後秩序に対する挑戦」とも主張している。中国が「連合国の一員として戦った」との認識を広めれば、尖閣諸島問題について国際的な理解を得やすくなるとの計算もあるはずだ。
さらに「建国記念」の大規模な軍事パレードは台湾の中国に対する反発をかきたてる恐れがある。抗日戦勝利は少なくとも、台湾の外省系(国共内戦の敗北にともない、大陸から台湾に移った人とその子孫)の人とは共有できるテーマと言える。(編集担当:如月隼人)(写真はパレードの様子。CNSPHOTO配信)