「猫」は人間の能力を44%も上げる!? 猫にまつわる“8つの数字” | ニコニコニュース

ウレぴあ総研

人類と数千年にわたる長い付き合いがある「猫」。今ではペットとして気軽に飼えるほか、テレビなどでも多くの猫番組・猫動画が流され、ますます身近な存在になってきた。今回はそんな猫について、意外と知られていない“数字”を8項目に分けて紹介してみたい。

「猫に鰹節」はNG!? 獣医が教える、犬猫に与えてはいけない“人間の食べ物”20

44% ―― 人間の作業効率をアップさせる

2012年に広島大学大学院の研究グループが「かわいいものを見ると集中できる」研究結果を発表した。被験者に子犬・子猫の写真を見せた後は、手先の器用さを必要とする課題のパフォーマンスが44%向上したというものだ。同様に、指定された数字を探して数える課題のパフォーマンスも16%アップした。

この理由について、研究グループは『「かわいい」という感情には対象に接近して詳しく知ろうとする機能があるために、このような細部に注意を集中するという効果が生じたと考えられます』と述べている。

ただ、ちょっと個人的に納得いかないのは、“成長した犬・猫の写真ではパフォーマンス向上が見られなかった”という実験結果。真の猫好き(または犬好き)なら、大人の動物でも「かわいい」と感じるはずなので、今後は被験者の属性を偏らせた研究にも取り組んでみてほしいものだ。

“ネズミ捕獲”のギネス記録は…

28,899匹 ―― ネズミ捕獲のギネス記録

今から50年ほど前にスコットランドで誕生したメス猫・タウザーは、生涯に28,899匹ものネズミを捕まえてギネス記録保持者となっている。ウイスキー蒸留所でウイスキーキャット(麦をネズミの害から守るための猫)として飼われていた彼女は、ネズミ獲りの腕にすぐれ、見せに来たネズミを職人がカウントしていくうちに3万匹近い数字になったという。

すでにスコットランドでは衛生上の観点からウイスキーキャットは廃止され、タウザー自身も1987年に他界した。だが人々は彼女の残した功績を大いに称え、蒸留所には立派な銅像が建てられている。

14.82歳 ―― 飼い猫の平均寿命

日本ペットフード協会が公表している統計資料「平成26年 全国犬猫飼育実態調査」によると、猫の平均寿命は14.82歳。これは犬の平均(14.17歳)とほぼ同じで、前年と比較して犬猫ともに横ばいだ。

猫の年齢を人間にあてはめる計算式は、生まれた最初の1年で18歳まで成長するものとして、2年目で24歳、その後は1年ごとに4歳加算していくのが目安(諸説ある)。つまり猫の14.82歳は、人間でいえばおよそ75歳。日本人の平均寿命に近づきつつある。

また、同じ統計資料によると、完全室内飼いの猫は平均寿命が15.69歳、外に出る猫は13.19歳と差が生じている。猫の2.5歳は人間のおよそ10年間に相当するため、やはり愛猫を家の外に出すことは、確実に寿命を縮める要因になっているようだ。

マイナス97万円 ―― 犬派と比較した猫派男性の年収

2014年に発表されたネットアンケート結果によると、自分を犬派と答えた男性の年収は平均561万円、猫派の男性は平均464万円になったそうだ。猫派男性のほうが100万円近く年収が低いという衝撃的なデータは話題を呼んだ。

ただしこれは学術調査ではなく、あくまで民間企業が実施した1つのアンケート結果という点に注意。サンプル(回答者)に偏りはなかったかどうか、統計的に有意な差があるかどうかは明らかにされていない。女性の場合は逆に猫派のほうが高い年収になっていることからも、結果を鵜呑みにはできないだろう。

とはいえ犬派・猫派で年収額を比較調査しようという発想は非常におもしろい。ぜひ正式な研究チームを組み、ホントのところを調べてみてほしいと思う。

イエネコの祖先が誕生したのは○万年前

27個 ―― 猫の耳を構成する筋肉の数

猫を飼っている人は、その器用な耳の動きに興味をひかれたことがないだろうか? 遠くで音がすれば耳をピンと立て、知らない人間を威嚇するときは後ろに折りたたまれ、目を閉じている休息中でさえレーダーのようにぴくぴく動かしている。

あの複雑な動きを可能にする猫の耳は、なんと27個もの筋肉から構成されているという。可聴域も圧倒的で、犬の約2倍、人間の約5倍。小さな音でも人間の8倍ほど鋭く反応でき、音がする位置(角度)を聞き分ける誤差は人間のわずか1/9。すぐれた嗅覚で知られる犬と対照的に、猫が聴覚の動物と言われるゆえんだろう。

さらに、バランスを司る三半規管も耳の奥にあり、これまた猫は超高性能だ。一般には「60センチの高さがあれば背中から落とされても足で着地できる」とされる。こうしたバランス感覚と柔軟な筋肉・関節構造のおかげで、高い建物から落ちても無事だった例は少なくない。

猫の耳は単なる“萌えアイテム”ではなく、感情表現から狩りのサポートまで、きわめて実用性が高い万能部位なのだ。

約13万年前 ―― イエネコの祖先が誕生した時期

人に馴れ、人と同じ生活圏で暮らすイエネコの祖先は、研究によれば「リビアヤマネコ」。砂漠地帯に溶け込めるようにするためか、体色はいわゆるキジトラの猫に近いものが多い。このリビアヤマネコが発生(分化)したのが約13万1000年前で、北アフリカ・中東から世界中へ広まっていったとされる。

初めて猫が家畜化された証拠の見つかっている古代エジプトでは、猫が“神の使い”として神格化されていた時代もあった。反対に西洋では猫、とりわけ黒猫が“魔女の使い”として迫害された歴史もある。

日本の猫は飛鳥時代から奈良時代にかけて入ってきたとの説が有力(弥生以前にいたという説もある)。平安以降はさまざまな文献に猫が登場し、たとえば清少納言の随筆『枕草子』にも猫に関する記述がある。ここに出てくる一条天皇の愛猫「命婦のおとど」が、記録に残っている中で“日本で最初に名づけられた猫”だという。

猫の「殺処分数」、10年前と比較してどう変わった?

1~8匹 ―― 猫が一度に生む子供の数

猫が一度に生む子供の数は諸説あるが、1~8匹、3~6匹、5~7匹など人間よりも多い。平均して4匹程度という。野生の猫は飢えや病気、捕食など死亡リスクが高いため、個体数を維持するには本来このくらいの出産数が必要ということなのだろうか。

メスの猫は生後半年から9ヶ月程度で妊娠可能になり、発情期は1年におよそ2~3回。妊娠期間は約2ヶ月。妊娠のサイクルが早く多産なため、ノラの子猫たちが一斉に離乳を終える時期は保護ボランティアも大忙しになったりする。

ちなみに猫は交尾によって排卵が誘発されるため、発情期に複数のオスと交尾した場合、「父親が違う子供を同時に生む」こともある。

約2/5 ―― 10年前と比較した猫の殺処分数

環境省が公表している統計資料によれば、平成25年度に全国で殺処分された猫の数は99,671頭。平成16年の238,929頭と比較すれば約4割にまで減ってきている。

ここに犬の殺処分数(28,570頭)を加えても合計13万弱。ほんの数年前まで「年間に殺処分される犬猫は合計30万頭」と叫ばれていたことを踏まえれば、行政・民間団体の取り組みは一定の成果を上げていると言えるだろう。また、施設に収容されながら殺処分をまぬがれ、人の手に返還・譲渡された猫は16,320頭(平成25年度)。10年間で約4倍に増えた。

このように命を落とす犬猫は着実に減っているが、まだ10万頭近い猫が1年間に殺処分されている現状は見過ごせない。しかも、そのうち6割が子猫なのだ。生き物を飼うときは「一人暮らしは寂しいから」「かわいいから」だけでなく、「手放すことなく一生を共にする」覚悟を忘れないようにしたい。