日本通信株式会社は3日(日本時間)、モバイルデバイス向けとしては世界初となるセキュリティ技術「モバイルIDS」を正式に発表しました。
このモバイルIDSは、既に企業ネットワークにおいては一般的となっているセキュリティソリューションとなる「IDS(Intrusion Detection System)」を、日本通信の特許技術によりモバイルデバイス向けに転用・最適化した技術となります。
IDSは、企業ネットワークを狙うハッカーが企業に対して仕掛けるスキャニングなどの偵察行為や、発見した脆弱性を利用して行われる攻撃などを様々な方法で検知し、対策を講じるために必要となる情報をユーザーに提供してくれるシステムとなり、サイバーセキュリティにおいては重要な役割を担う技術です。
また、このモバイルIDSは “Situation Awareness(現状認識)” というコンセプトを核にして開発されているとのことですが、これは企業や個々人で大きく異なるデバイスの使用方法や利用環境(Situnation)をしっかりと認識した上でのセキュリティ対策が必要になるという考えに基づいています。
日本通信によると、モバイルIDSは日本時間9月18日より法人向け「VAIO Phone」(過去記事)に対して先行的に提供が開始されるほか、検知のみならず「防御」機能も備えた「モバイルIDPS(Intrusion Detection and Protection System)」も同時に利用可能になるとのこと。
画像は「VAIO Phone」のもの
一方で個人のユーザーに対しては、「コミュニティ開発プログラム」と呼ばれる独自のセキュリティ技術開発プログラムを提供するとしています。
このプログラムを通じて、“どのようにして不正ないし不適切な侵入行為が行われているか” について一台一台のスマートフォン毎に調査し、その集積された膨大な情報をビッグデータとして解析し続けることにより、個人ユーザーに最適化されたモバイルIDSおよびIDPSの開発と提供が実現されることになります。
また、個人のVAIO Phoneユーザーに対しても9月18日よりモバイルIDSの提供は開始されるほか、モバイルIDPSに関しては第3四半期前半を目途にAndroidファームウェアのアップデートとともに提供されることになる予定とされていますが、既に第3四半期も終わりを迎えつつあることを踏まえると、第4四半期前半の誤記なのかもしれません。
なお、法人向けモバイルIDSの100台あたりの価格は、月額24万円(税抜き)。一方で、個人向けモバイルIDSは完全無料となり、個人向けモバイルIDPSについては既にVAIO Phoneを所有するユーザーおよび9月3日から “先着2万名” の新規購入者に対して、コミュニティ開発プログラムへの参加と当該端末の継続利用を条件に、無償で提供されることになります。
正直なところスペックだけを見れば少々魅力に欠けるVAIO Phoneではありますが、今回発表された新技術が完全に実装された暁には、セキュリティ性能という観点において世にひしめく多くのライバル達に一歩先んじることとなりそうです。
プレスリリースでは、VAIO Phone以外への提供開始も予定されていることが示唆されており、将来的には日本通信社が手掛ける端末以外でもモバイルIDSおよびIDPSが利用可能になるかもしれません。
[日本通信株式会社 via G for Games]