ロボットの魚があなたの血を綺麗にしてくれるかも知れない

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近い将来、小さい魚型のロボットが、私たちの体の中を泳ぎまわり、薬を注入したり毒素を除いてくれるようになるのかも知れません。先週、サンディエゴ大学が化学物質で動作し、磁力で操作するプロトタイプを公開しました。

これらは「マイクロフィッシュ」と呼ばれ、本物の魚に似た見た目をしています。しかし似ているのは見た目だけで、局所的な薬物の投与環境の清掃といった様々な作業を行えるマイクロボットなんです

「私たちは、大きさ的には髪の毛の太さより小さく、それでいて複雑な幾何学的構造を持ち、自然界からヒントを得た顕微鏡レベルの魚を作り出す新たな方法を開発したのです」とカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)にてナノエンジニアリングの博士号を持つWei Zhu氏は声明にて説明しています。「この方法によって、幅広い用途の為の様々な機能を容易に魚型ロボットに取り入れる事ができます」


150904_microfish02.jpgUCSDのチームは、microscale continuous optical printing (µCOP)と呼ぶ彼ら独自の技術でマイクロフィッシュを3Dプリント技術で製作しました。この技術の大きなイノベーションは約200万のマイクロミラーを持った光学チップで、それぞれの鏡が独立して制御され、光を受ける事で固形化する感光性の素材にUV光を投射します。この技術を使用する事で、技術者達は長さ120ミクロン、厚さ30ミクロンのマイクロフィッシュを一度に数百個プリントできるのです。

この新技術の大きな利点は、マイクロフィッシュに様々なナノパーティクルを取り入れられる事です。概念の実証のため、研究者たちはプラチナのナノパーティクルをマイクロフィッシュの尾ひれに収納しました。


マイクロフィッシュが過酸化水素に浸かると、これらのパーティクルが化学反応を起こし、マイクロフィッシュを前進させます。プラチナのパーティクルが動力源になるわけですね。さらに魚の頭部には酸化鉄のパーティクルを入れてあり、磁力によって操作も可能です。

最後に、研究者たちは毒素を中和するナノパーティクルのポリジアセチレン(PDA)をマイクロフィッシュの体全体に散りばめました。PDAが毒素と結合すると赤い蛍光を放ちます。そこで、マイクロフィッシュの放つ蛍光の強さで環境がどれだけ汚染されているかを目測する事ができるようになるのです。


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PDAを入れたマイクロフィッシュが赤く蛍光する事で、周囲の環境の毒素の存在を示しています。


「この実験の素晴らしいところは、いかにしてマイクロフィッシュが毒素センサーであると同時に解毒システムとしても活躍するかを示した事です」とZhu氏は語ります。

デトックスフィッシュは確かに優秀ですが、これはまだまだ始まりです。マイクロフィッシュは人間の血流をたどり、目標の部位に薬品を届けたり、顕微鏡レベルの手術を行えたりするようになるかも知れないのです。

更に、魚の形だけにこだわらず、他の生物にヒントを得た形でもプリントできます。「私たちの3Dプリント技術なら、形は魚だけに留まりません。鳥など他の生物を元にした形を即座に作る事ができます」とZhu氏は語りました。

それならこんな未来はどうでしょう。貯水池にエイやサメ、イカなどの形をしたミクロのロボットを放って水を浄化する、そんな世界。そして同じロボットが、私たちの体の中を巡り毒素を中和したり薬を投与してくれる。そんなドラえもんチックな世界がやってきたらと思うと、ワクワクしますね。


source: UCSD News

Maddie Stone - Gizmodo US[原文
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