広東省東部の汕頭市で最近になり、固く巻いた小さな紙片が米に混ぜて売られていたことが分かった。気づかずに半年程度食べていた人もいる。中国メディアの南方都市報、南方網などが報じた。
蔡さんは汕頭市の旧市街に住んでいる女性だ。1月ごろ、主に茶葉を売る露店で、米を売っているのに気づいた。露天の主人は、自分の親類が栽培している完全無農薬米などと説明した。
蔡さんは日ごろから、家族のためにも「食による健康づくり」を心掛けている。完全無農薬と聞いて、心が動いた。しかし、一時だけ食べても、あまり意味はない。すると露店の主人は「よかったら親類に話して、かならず手に入るようにしますよ」と言った。蔡さんはその後、その露店で毎回10キログラムずつ、米を買い続けたという。
「異常」に気づいたのは最近だ。家族と食事をしていて、碗によそった米飯を半分程度食べてから「なんか、硬い米粒がある」と気づいた。口から取り出して眺めた。形は米粒に似ていないこともなかったが、よく見ると違う。
正体は分からなかった。そこで、米びつに残っている米を調べた。すると、「米もどき」が数十粒、見つかった。いじっているうちに、ほぐれた。幅数ミリメートルの薄い紙を固く巻いたものだった。
偽物をつかまされたと分かった。責任を取らせねばならない。ところが、米を売っていた露店はすでに見当たらなかった。領収書なども、もらっていない。蔡さんは「やられた!」と悔しがった。
同件を受け、汕頭市政府工商部門は「米はできるだけ、大きなスーパーマーケットや正規の食品店で買っていただきたい。購入時には、かならず領収書を受け取ってください。(行政などが)消費者の権利保護をする際、領収書は有効な証拠になります」などと呼びかけた。
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◆解説◆
蔡さんが買った米に混ぜられていた「紙粒」がそう多かったわけではない。たまたま「固い飯粒がある」と気づいた程度の割合だ。
「紙の方が米より安い」としても、それほどの“コスト削減”とは思えない。摘発され処罰を受けるリスクを冒してまで混ぜ物をした理由は何なのか、理解に苦しむところだ。もっとも中国人の場合には「商売は勝負ごと」との感覚が強く、たとえわずかであっても「勝利する」こと自体に大きな快感を覚える人がいるという。(編集担当:如月隼人)(写真は南方網の上記記事掲載頁キャプチャー)