ダイヤモンドオンラインが「成長したいなら、ブラック企業に行け!」と題した対談を掲載している。登場しているのは、早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授と、ボストンコンサルティンググループ(BCG)のパートナー平井陽一朗氏。
元BCGで平井氏の大先輩である内田氏は、対談の冒頭で「『力をつけたかったら、世間で言われているブラック企業に行け』というのが私の持論です」と切り出すと、平井氏は「おぉ~!素晴らしい」と称賛。内田氏は、こう続けている。
元監督官「軽々しい表題をつけた印象はぬぐえない」「なぜなら、ホワイト企業に入っても、ぬるま湯では人間は成長できないと思うんですよ」
その後、内田氏は企業に対し「本当に『いい人』を採用したいというなら、その会社が大好きでしょうがなくて、会社に骨を埋めたい、という人を採った方がいい」と勧め、こんな採用方法を提案している。
「一番僻地の工場に、『何月何日の朝9時に来い』と召(招)集をかけて、そこに早く並んだ人から採用すれば、『内定を辞退したい』と言われることがなくなるはずですよね」
しかし就活生がなぜブラック企業に入った方がよいのか、それ以上は理由に触れられていない。単に反感を抱かれやすいトピックを冒頭に持ってきて、見出しをつけただけなのか。読者からは肩透かしを食らったような反応が見られる。
「煽る見出しだなーと思ったけど内容は論拠も根拠もうっすい話だなあ」
元労働基準監督官の社会保険労務士も、ツイッターで「決してブラック企業で働いたことのない方ならではの発言のようです」と見出しに注文をつけている。
「ぬるま湯時代のJAL」を意識した発言か「内容は自立せよというニュアンスですが、本当のブラック企業に行くとそういう判断力そのものがつぶされてしまいます。軽々しい表題をつけた印象はぬぐえません」
ブラック企業といえば事業そのものが違法だったり、労働者を過酷な環境で働かせて賃金を支払わなかったりする会社のことだ。存在そのものが反社会的であり、国もブラック企業撲滅を掲げて「過重労働撲滅特別対策班」(通称かとく)を立ち上げている。
そんな中、例えであっても「ブラック企業に行け!」と存在を肯定するように受け取られるタイトルは、褒められたものではない。読者からは「バリバリの違和感」「お前が行けよ」と苛立つコメントも見られる。
その一方で、内田氏の真意を汲み取ろうとする人も。あるツイッターユーザーは、内田氏が東京大学を卒業後、日本航空に入社していることを指摘した。
「まあ、ぬるま湯時代のJALからキャリアを始めているからな」
その後、内田氏は退職し、慶大でMBAを取得。激務で知られる外資系コンサルティングファームのBCGに入社している。要するに「ブラック企業のすすめ」が真意ではなく、日航のような「ぬるま湯」では自分はまるで成長できなかった、と言いたいだけなのかもしれない。
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