ネスカフェにインスタントコーヒーは存在しない!「ネスカフェ香味焙煎 究み」10月1日発売 | ニコニコニュース

ガジェット通信

ネスレ日本は、つきぢ田村の三代目である田村隆氏と共創し「ネスカフェ香味焙煎 究み(きわみ)」(以下、究み)を10月1日(木)から発売するのに先立って行われた報道関係者向け発表会を取材した。

知ってる人は知っている、知らない人にはどうでもよいことなのだが、ネスカフェにはインスタントコーヒーは存在しない。

そんなこと言ったって、インスタント「しか」ないじゃないか!と言われそうだがもっともである。

実はいわゆるインスタントコーヒーでコーヒー豆の粒を包み込む製法で、酸化を防ぎ香り高いコーヒーを提供しているのだそうだ。

感覚的にはインスタントに違いないのだが、そういうことだ。

実際にお湯に溶かして飲んだ後に、ネスカフェブランドの製品はカップの底に豆の粒が残る。これこそが「レギュラーソリュブルコーヒー」の証というわけである。

登壇したネスレ日本の高岡浩三社長は、今後製造業からサービス産業への転換、プレミアム戦略をさらに推進すると述べ2015年下半期の事業戦略を発表した。

途中ペッパーが登場し、近未来の生活の一例を見せた。

すなわち、コーヒーに限らず、生活必需品の消耗状態を監視し、買い忘れのないように「在庫管理」する等、IT技術を駆使した未来の一端を垣間見た。

そして、究みを共同で開発したつきぢ田村の田村隆氏が登壇。トークセッションに移った。

田村氏は、コーヒーに限らず「産地よりも旬」を大切にした結果、生まれたコーヒーだと語った。

会見の後で、個別取材を申し込んだ記者は田村氏にいくつかの質問をしてみた。日本料理の巨匠に大変失礼な質問かもしれないが、疑問は疑問なのでぶつけてみた。

--日本料理とコーヒーというのは全くつながらないのですが

「先代も初代もそうですが、非常にハイカラな人でした。コーヒーゼリーなどを出していて、昔からコーヒーを取り入れていました。守らなければならない概念もありますが、かといってとらわれても駄目だと思うのです」

「よく型破りって言いますよね。あれは型を知っている人が破るから型破りなのであって、知らない人が破ってもそれはだめです。そういう意味で私は型破りかもしれませんけどね」

--コーヒーが出てくることで高いと思っている日本料理がカジュアルになると思っても構いませんか

「そう考えて頂いて、よし、つきぢ田村に行ってやろうと思ってもらえればうれしいですね。つきぢ田村は料亭ではなく料理屋です。ランチに3500円のお弁当も出します。ランチに3500円は高いかもしれませんが、それは価値観です。例えばお弁当に卵焼きを出した時に湯気が出ていたら価値を感じませんか?でも、朝焼いても出す前に焼いても原価は同じですよね。この湯気は付加価値なんていうものではなく、まぎれもなく価値なんです。」

「ですから、誰でも彼でもコーヒーを出すということではなく、たまにはそういうのもいいのではないかということです。一度ランチを食べにいらしてみませんか」

--いえいえ、私なんぞが行く場所ではございません。日常のランチ500円の生活では無理でしょう

「では、1週間ランチを我慢されてうちにいらしてください。名刺を渡しておきますから、三代目の知り合いだと言ってください。デザートをお出ししますので」

--そんなことを言われると本当に「知り合いだ!」って言っちゃいますよ

「もう知合いですから、大丈夫ですよ」

と、個別取材のつもりが、がっちり握手を交わして終了という異例づくめの妙な終わり方だったが、三代目の気さくで頑固でハイカラな人柄は、今後もファンを増やし続けるだろう。

記者は約束したことは守るので、そのうち1週間ランチを抜いて、つきぢ田村の門をくぐろうと思う。

その三代目は、報道関係者一人一人に「究み」とぜんざいを振る舞った。

裏で1杯1杯いれた「究み」を出す三代目は、特に言葉を発するわけでもないのだが、その表情からこだわりと自信が伝わってきた。

ネスレ日本の担当者には、35グラム1800円のコーヒーをいったい誰に売ろうとしているのかを聞いてみた。

「基本的には贈答用とお考えいただいて構いません。当社のフラッグシップモデルですから、贈答用には最適ですし、また気に入っていただける方にはお求めいただけると思っています」

「それよりも、贈られた方が"インスタントコーヒーだなんて"と思って飲んでいただき、これは違うとお感じになれば今までの概念を取り払えると考えています。そういう方がたとえ"極み"でなくても、次はネスカフェのゴールドブレンドでも飲んでみようかと思っていただければ幸いです。”究み”から広がるネスカフェのイメージに期待しています」

たしかに、これを常時購入して飲むのは1杯当たり75円だとしても高いと言わざるを得ない。

しかし、サラダ油や缶ビールや洋酒といった贈答品の定番に食い込むだけの「味の確かさ」は記者も認める。

そこに究みを極めた自信があるのだろう。

「ネスカフェ香味焙煎 究み」は35グラム1800円、エコ&システムパックは30グラム1500円で、ネスレ通販オンラインショップ、つきぢ田村を中心とした日本料理店で10月1日から発売、百貨店向けギフト商品は11月1日から発売される。

万が一、贈答品として贈られる機会があればインスタントと偏見を持たずに黙って1杯飲んでほしいコーヒーであり、たまの自分へのご褒美に1800円なら出してもよさそうだ。

※写真はすべて記者撮影

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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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