河北省保定市高陽県内で8月下旬、周辺住人が農業会社が所有する梨畑に押し入り、思い思いに梨をもいで持ち去ったことが分かった。畑を囲む壁は押し倒された。職員が制止しようとしたが、押しのけられた。北京青年報が報じた。
農業会社は現地で養鶏場の建設を目指して2014年、現地で200ヘクタールあまりの土地を取得したが、周辺住民の反対で計画は進められていない。取得した土地は梨畑で、会社は畑の管理を続けている。
梨の収穫は8月だ。会社は、養鶏場建設計画のためにも周辺住民との親善を図ろうと、収穫した梨を無料で配った。1人当たり2.5キログラムを配り、全部で5トン強を配ったという。その後は、割引販売を続ける予定だった。
会社側の「善意」が裏目に出た。周辺住民が「梨はタダでもらえばよい」と考えるようになったらしい。毎日のように、「タダでくれないのか?」と言う人が来る。「摘むのが手間だと言うなら、私が自分で摘む。だから、タダでいいだろ」と“交渉”しはじめる人もいる。
断るといずれも、怪訝そうな、あるいは不快そうな表情で帰って行く。会社責任者によると、「最初は1日に3-5人でした。ところが、だんだん多くなってきたんです」という。
「異変」が発生したのは24日午前9時ごろだった。畑に突然、住民40-50人が押しかけた。「梨をくれ!」と言って押し入ろうとする。職員が食い止めた。一方で、警察に連絡した。到着した警察官も加わり、なんとか“撃退”に成功した。
翌25日になった。またやってきた。前日よりも人数が大幅に増えていた。一斉に畑に侵入しようとした。畑を囲む壁の一部が押し倒された。工具を持って来て、鉄条網を切断して、壁を乗り越えた人もいた。会社職員はそれでも阻止しようとした。多勢に無勢だった。いとも簡単に押しのけられ、突破された。梨畑は“陥落”した。
次々に梨畑に突入した。各々が、大きな麻袋を持っている。「梨狩り大会」が始まった。梨畑で「散開」。思い思いに、よく成っている木を見つけては作業開始だ。現地では、農業に従事している人が多い。手慣れたものだ。どんどん“収穫”する。畑の外に、荷運び用の車を止めていた人も多い。畑と車の間を往復した。
ようやく警察が到着した。梨畑から退去するよう警告した。警告にもかかわらず、何度も畑の中と外を往復し、梨を運び出していた7人は、「特に悪質」として身柄を拘束した。
会社によると、持ち去られた梨は少なく見ても5トン程度で、市場価格に換算すると20万元(約378万円)以上の損害という。(編集担当:如月隼人)(写真は同件を伝えた北京青年報紙面から)