秒速24キロメートルで上昇しながら星間を超高速移動するへびつかい座ゼータ星。この星は、ガスや塵を輝かせながら12光年もの幅がある「波」を創りだしています。
NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡が撮影したへびつかい座ゼータ星はまだ若い青色恒星。太陽の19倍もの大きさがあり、地球からは366光年離れた場所にあります。
かつては連星(二つ以上の恒星が互いに引力を及ぼし合いながら、共通の重心の周りに軌道をつくって公転している天体)の一部だと天文学者たちの間では信じられてきましたが、もう片方の星は超新星で爆発してしまったようです。この悲しい別れはへびつかい座ゼータ星を放り出し、今に至っています。
すべての恒星がそうであるように、へびつかい座ゼータ星もまた太陽風のような荷電粒子を絶え間なく放出し、星間ガスや塵を圧縮しながら周囲を押し出すようなカーブを星の進路前方につくりだしています。水上を走る高速船が進路の前に波を起こす「船首波」と同じ仕組みがこの宇宙にも存在しているんですね。
ちなみに、へびつかい座ゼータ星は宇宙空間を超高速で駆け抜けながら、1日1回ほどのペースで自転も行っています。太陽の自転が25〜31日だということをふまえると圧倒的なスピードなのですが、かつて重力をともにした相方の星がなくなり乱暴に放り出されてしまった副作用なんだそうですよ。
source: NASA
Kiona Smith-Strickland - Gizmodo US[原文]
(Rumi)