国産ビジュアルノベル(絵と音を加えた電子画面上で読む小説)ゲームの英語版移植を手掛けるローカライズスタジオMangaGamerが、『屋上の百合霊さん(英題:Kindred Spirits on the Roof)』(ライアーソフト)を、来年Steam(開発・運営:Valve Corporation)で発売すると発表。同発表を受け、エロゲファンは「遂にSteamがエロゲ解禁なのか」と騒然となり、熱い議論を繰り広げている。
発売が決定した『屋上の百合霊さん』は、2012年に登場したPC向けアダルトゲーム……つまりエロゲである。舞台は、城跡に建てられたことから“シロジョ”の名で親しまれる九ツ星女子学園。ある事情により静かに学園生活を送っていた無常少女・遠見結奈は、昼休みの屋上でふたりの幽霊に出会う。百合(レズ)な想いを抱えて、死に、出会い、百合仲となったふたりの幽霊の願いは“悔い無く素晴らしい初体験”だ。しかし、その方法がわからず……といった、切なくもエロい内容だ。
同ゲームを手掛けたのは、1999年7月、超能力に目覚めた主人公がセックスを目指す『ちょ~イタ』を販売し、キャリアをスタートさせたライアーソフト。同作に対し、「超能力でイタズラ、だからちょ~イタ! ※「超イタイソフト」ではありません」と記載する時点で少々痛い気もするが、そうしたゲームを男らしく出す、熱い一面もあるメーカーだ。ライトノベル『ファイヤーガール』(TYPE-MOON BOOKS)などで知られる星空めてお氏も、かつて同メーカーに在籍し、いくつものゲームに携わった。
そんな『屋上の百合霊さん』がSteamから発売。Steamは購入、またはゲームの使用権さえ登録すれば、インターネット環境のあるどのPCからでもインストール、そしてプレイが可能となる。それだけに多くのユーザーが存在するのだが、Steamを運営するValve Corporationは、過激なゲームや性的な表現を含む美少女ゲームに対して厳しいことで知られている。
そうした背景の中、今回の発売が決定。さらに、無修正ノーカットでのリリースに認可が降りたことを、英語版移植を手掛けるローカライズスタジオMangaGamerのスタッフも歓喜して報告。さぞやエロゲファンも喜ぶかと思われたが、「なんでよりによって百合なんだよ」「どうせ紙芝居(ビジュアルノベルの通称)なんだろ」「他に出すべきゲームがあったはずだ」など、『屋上の百合霊さん』に不服のよう。また、「Steamはレズには寛容なの?」「百合は美しさがあるから?」「百合やホモは、エロがあるからって下手に規制すると、その手の団体が騒ぎ出すからな」といった“百合だから許された”とにらむ声、「ロリが一番うるさいけど、これは結構投身が高いからな」「もともと修正しないといけないほど、ガッチリとしたエロはないだろ」と“エロが足りないんだよ”と嘆く声が錯綜し、変な感じに盛り上がっている。
果たして百合だから販売できただけなのか、それとも続々とエロゲが解禁されるのか。今後のSteamの動向を、エロゲファンと共にいやらしい目で追いたい。