もし求人が何かの兆候であるなら、IT企業の多様化改善への取り組みは口先だけではなさそうだ。例えば、現在Airbnb、Asana、Autodesk、およびDropboxは、雇用多様化の責任者を募集している。
Airbnbが言う「大きな仕事」のために、同社は多様化責任者として、「Airbnbが真に多様で開放的な会社とコミュニティーになるために、当社の使命である “Belong Anywhere”[居場所はどこにでもある]を、われわれのオフィスやプラットフォームおよびそれ以外にも広めていく創造性豊かな人材」を求めている。一方Dropboxは、「多様性と開放性を、Dropboxの日常業務、慣行、プロセス、および従業員能力開発に根付かせるための具体的戦略を開発する」ために多様化責任者を求めている。しかし、これらの求人の背景にある動機は何なのか?
「その人物の提示する戦略は、本当に経営陣から発信されたメッセージなのだろうか?」と、Yelpで多様化責任者を1年近く務めるRachel Williamsが、TechCrunchのインタビューに答えて語った。「私がYelpでこの仕事を引き受けたのは、経営陣が本気だったからだ」。
Dropboxの場合、多様化責任者雇用の動きは、おそらく元Dropbox従業員、Angelica Colemanが、同社は支援的、開放的な環境を育てていないと主張したことで起きたドラマに反応しただけだろう。Dropboxはこの求人に関する質問に対して回答を拒んだ。
Colemanは今年6月、Facebookにこう書いている:
私がDropboxを辞めたのは、自分を向上させようと努力する黒人女性である私に、IT業界が目を向けなかったからだ。たとえもっとできるスキルがあっても、Dropboxにいる限り、私はいつも補助的な仕事をするだけで上へいくチャンスはない。なぜか? 白人のマネージャーは私に活躍して欲しくないからだ。
私はParadigmのCEO Joelle Emersonに連絡を取り、Pinterest、Airbnb、Asana等のスタートアップの多様性改善に協力したスタートアップのファウンダーである彼女に、この件について意見を聞いた。
「企業がこれを始めた理由は、多様性、開放性への取り組みの管理には専任者が必要であり、片手間の仕事ではないと気付いたからだと私は思う」とEmersonはTechCrunch宛のメールで言った。
Facebook、Twitter、Square、Pinterest、Yelp、Google等の大企業は、既に多様化責任者を置いている。Appleには正式な多様化責任者がいないが、少なくとも同社の国際人材資源責任者、Denise Young Smithは黒人女性だ。
「私が思うに、主要となるべきなのは実際に少数派グループ出身の人物
であり、この仕事をするための情熱と支援があることが大切だ」とWilliamsは言った。
Williamsは、企業は多様化責任者の採用に際して既成概念を捨てるべきだと言う。例えば、アイビーリーグ以外の大学出身者や、修士号を持たない人物だ。彼女は、社内採用の可能性も示唆した。
企業は多様性責任者を雇った後、その仕事は人材資源だけではないと認識することが重要だ、とEmersonは言った。
「責任者は、会社全体における多様性と開放性への取り組みを促進、支援するべきだ。同様に、組織も担当者を雇っただけで良しとして、社内の多様性問題が自然に解決するなどと思い込んではならない」。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)