ある取引先の担当部長から、「今度ウチの89店舗に6台ずつ、君のとこの端末を設置しようと思うんだが」といわれ、「534台ですね、ご注文ありがとうございます!」と即答したとすれば、あなたはきっと「数字に強い人」「頭の回転の速い人」、ひいては「優秀な人」と思われるに違いない。
種明かしをすれば、「90×6-6」と計算するだけの話で、「その程度で?」と思うかもしれないが、人の評価など案外そんなもの。少なくとも以前の担当者とは違うなという印象を持たれるはずだ。
会社での出世や処遇で差がつくのは運や性格ももちろん関係するが、「印象」というのも決して無視できない。普通の人が電卓を叩いたり、紙に書いて計算するのに対し、パッと暗算で答えたら印象に残る。そんな小さなことがあなたのイメージを変え、評価のアップにつながるのだ。
とはいえ、文系出身のビジネスパーソンのなかには算数や数学が苦手だった人も少なくないだろう。即座に暗算するなんてとてもムリ、と思うかもしれない。しかし、大丈夫。暗算といっても決して難しくはない。たとえば、「九九」は誰でも諳んじることができるはず。それは学校で習ったからだ。
私たちは小学生のときに筆算を習うため、何でも筆算で解こうとするクセがついている。「88+39」という簡単な計算でも、つい筆算してしまいがちだ。そもそも暗算ができない、またはしようという気が起きないのは、暗算方法を習っていない、訓練を受けていないからなのである。逆にいえば、暗算の方法を1度覚えてしまえば、頭のなかで素早く計算できるようになる。
数字に強くなるために、ぜひとも身につけておきたいスキルの1つが、2ケタ×2ケタの暗算法だ。ここでは、2ケタの2乗計算を暗算で解くテクニック「おみやげ暗算法」を紹介したい。
「35×35」をおみやげ暗算法で解くには、まず右の35の1の位の5を“おみやげ” として左の35に渡す。すると「40×30=1200」となる。その1200に、おみやげとして渡した「5」を2乗した「25」を足すと1225。つまり「35×35=1225」となる。というように簡単に答えを求めることができる。
同じ要領で「65×65」を頭のなかだけで解いてみてほしい。まず、右の65の1の位の「5」を“おみやげ”として左の65に渡し、「70×60=4200」とする。次に、おみやげの「5」を2乗した「25」を「4200」に足す。つまり「65×65=4225」となる。どうだろう、解けただろうか。最初は少しまごつくかもしれないが、何度も繰り返すうちに慣れてくる。
普通なら電卓を叩くような計算をパッと答えられれば、あなたの株は上がる。上司からの信頼感も増すだろう。数字に強くなると、社内プレゼンはもちろん、商談の場でも威力を発揮するはずだ。「暗算」はビジネスパーソンの強い武器になる。ぜひオススメしたいスキルである。